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2007年3月

2007/03/30

DyDo 『simply design』 マイナーチェンジで再登場

DyDo (ダイドードリンコ) 社が、2007年3月26日 [注1] に全国一斉販売を開始した 『simply design coffee [cafe-au-lait]』 は、実は、2006年9月25日 [注2] に既に発売されていたものの手直し商品である。全体に、艶消しのプラスチックフィルムで覆ったパッケージに、グレーの文字が目立たないように入っている。一見何も印刷されていない様に見えるので、コンビニの陳列棚では「目立つ」。戦略としては一応の成功はおさめている。ただ、「シンプルでスタイリッシュなデザイン」 かどうかは議論の余地のあるところだ。少なくとも、自己申告すべき事柄ではない。第三者の評価に委ねるべきであろう。

パッケージに記されているデザインコンセプトによれば、「the team ING」 というデザイン集団によるものらしいが、わざわざパッケージに印刷する程の内容ではない。また、ネーミングにも疑義がある。<simply design coffee> とあるが、「simply」 が副詞なのに直接名詞を修飾するといった文法的誤りは、現代英語の多様性の範疇として無視出来る。しかしながら、シンプルにデザインされたのが、パッケージなのか、コーヒー飲料なのかがわからない。字義通りに解釈すれば、<coffee[cafe-au-lait]> で終わっていることから、コーヒー飲料の方であろうと推察される。ただ、「牛乳、砂糖、コーヒー」 の他に 「乳化剤、カゼインナトリウム、カラギナン (安定剤)」 が添加されていてもなお、「simply」 とい言えるだろうか。かなり無理がある。「内容とパッケージの乖離」 とはこうしたことを指すのではないだろうか。更に、<cafe-au-lait> だけで事足りるのに、<coffee> と言う必要があるのだろうか。「コーヒー牛乳」 の呼称が使えなくなって久しいが、今でも <cafe-au-lait> の表記は問題ないと思うが。

さて、今回のパッケージデザインのマイナーチェンジの謎について、若干の考察を加えた。前回と今回のパッケージの差異は大きくは、3点に絞られる。第1、パッケージ下部のコピーから、「シンプルでスタイリッシュなパッケージはコレクターズアイテムにふさわしく、十分にファッショナブルである」 (原文は英語、説明の便宜上、意訳した) の文言が削除されている点、第2、プラスチックフィルムのラッパーは内容物をすっぽり隠さないレベルまで下げられた点、第3、ボトルキャップのメーカーと種類が変更された点、である。第1点目については、「僭越である」もしくは「PETボトルのリサイクルの精神に反する」というクレームがあっただろうことは想像に難くない。第2点目は、やはり内容物は消費者に提示すべきであるということであろう。第3点目、これが今回最も興味深い事柄であった。キャップの種類が、Novembal社製の角の丸いキャップから、通常のギザギザの粗いタイプのキャップに変更されたことである。恐らく、デザイン集団「the team ING」のクリエーター達は、前者のキャップのフォルムを生かしたかったに違いない。実際に 「シンプルかつスタイリッシュにデザインされたペットボトル」に被せてみると、評価は 「ありだよ、あり」 である。確かに、デザインの意図が「シンプル」 に置かれていることが良く判る。しかしながら、Novembal社製の角の丸いキャップには、大きな問題が存在する。キャップ表面の中心にプラスチック成形時に型抜きしやすいように設けられた小さな突起が(あたかもバリのように)存在することである。これは、大型ペットボトルの中央陥凹タイプのキャップとは異なり、印刷面に欠損を与えるまでには至らないものの、シンプリーデザインを標榜するクリエーターやスタイリッシュペットボトルのコレクターにとっては、耐え難いものがある筈である。更に、タイプライター活字風デザインが施された「simply design」のロゴが、異常に小さい(薄いグレー色の直径22mmのベタの円の中央に、幅1cmで2段組の白抜き文字)ため、この突起が明らかにデザイン上の障碍となっている。そこで、印刷面が艶消し (マット) 状のギザギザの粗いタイプのキャップが再度選定し直されたと考えられる。

しかしながら、角の丸いキャップとギザギザの粗いキャップでは、質感だけでなく、印刷面の面積が大幅に異なる。実は、改変バージョンのキャップで感じられる違和感は、オリジナルデザインをそのまま流用したことに起因している。直径22mmの円は、Novembal社製の角の丸いキャップの印刷可能限界であるが、ギザギザの粗いキャップは印刷面の直径は29mmもあるため、キャップ辺縁部からデザインまで3.5mmものマージンが出来、これが余白が余った印象を与えている。このことは当初、デザイン上予期した結果ではない筈である。デザインに拘泥するならば、キャップの形状を十全に考慮した上で、変更すべきではなかったのだろうか? 恐らく、両方のキャップの混用も想定しての流用であった思われるが、デザインは機能に次いで、やはり見た目が重要である。

今回参照したキャップのデータ: 賞味期限+製造所固有記号 「071202/DO1B」。この結果、『simply design coffee [cafe-au-lait]』 の賞味期限は8カ月ということが判明した。キャップは、日本クラウンコルク社製 (ロット番号: N16-32)。ボトルは、北海製罐製 (ロット番号: 39)。ところで、キャップとボトルの製造メーカーが一致しないのはなぜだろう。詳しい方がいたら教えてください。

注1) DyDo Release No.433 (2007年3月8日) [http://www.dydo.co.jp/corporate/news/2007/070308.html
注2) DyDo Release No.397 (2006年9月6日) [http://www.dydo.co.jp/dydo/release/060906.html

2007/03/27

PEPSI NEX(ペプシネックス)白キャップでリニューアル

2007年3月27日、ペプシ(販売は1997年の提携以降、サントリーフーズ社が行っている)から、『PEPSI(R) NEX』がリニューアルした。驚くべきは、キャップの色がペットボトル業界で、今最もトレンドとなっている反転バージョン(サントリー『天然水』、アサヒ飲料『フォションアップル・ティー』、アサヒ飲料『レモンを搾ったMITSUYA CIDER』など)で再登場したことである。それ以外の変更点はパッケージに「ゼロカロリー」表示が大きく前面に打ち出されたことくらいである。でも,これが伝えたいメッセージのすべてであることが、はっきりした。今まで、「NEX」の意味が今一つ分からなかった。ところで,現代人はいつの頃から、カロリーフリーの食物を摂取するようになったのだろう。真面目に考えてみるとかなり「変」であることが分かる。本来、知性を持った文明人のすることじゃない。人類は未だに無知蒙昧な薄暗がりの中にいるようなものなのだろうか。

さて、何故いまさら、白キャップなのか? 今回もちゃんと屁理屈用意しておきました。これには、1月末に、コカ・コーラ(R)が赤キャップになったことが少なからず影響している。実は、CCNBC社が、今回赤キャップを投入した理由の一つには、1.5リットルボトル入りコーラにおける競合商品『PEPSI NEX』(青色キャップ)の存在があった。コンビニでは実感出来ないが、スーパーの店頭では、両社のコーラが並んで陳列された場合、キャップの色だけが突出する。そこで、ペプシの青への対抗上、旗艦商品としてのコカ・コーラの赤(Coca-Cola Red)を前面に打ち出して来た。ところが、本ブロク2007年2月20日掲載の『紅白コークの誕生』の項でも触れたように、レギュラーコーラに対して、ダイエットコーラのキャップの色は「白」というフォーマットが成立した。更に、『ペプシネックス』もカロリーゼロであることを周知させる必要がある。そこで、敢えてキャラクター設定がバッティングする「白」にした(のではないだろうか)。文字で図解すると「青→赤・白→白」となる。

今回参照したキャップのデータ: 賞味期限+製造所固有記号「070913/SS」。この結果、『PEPSI NEX』の賞味期限は5カ月半ということが判明した(中途半端)。キャップは、青色パッキン(ロット番号:433)。

2007/03/25

JTフーズ『天晴』のモスグリーンキャップ

2007年3月19日に全国発売されたJTフーズ『天晴(あっぱれ)』[注1]のボトルキャップは、モスグリーン地+白色オペークインキで「天晴」の毛筆デザイン文字である。

カラーリングキャップ+白色オペークインキの組合せがペットボトルキャップシーンで「今一番ナウイ!」。ボトルキャップデザイナーよ、この波に乗り遅れるな! って、業界内(そんな業界が存在するかは知らないが)で喧伝されているのだろうか。このところの新規キャップラッシュには、こうした傾向が見うけられる。

モスグリーンのキャップといえば、幻のダイドードリンコの『葉の茶』(「葉のちゃん」登場以前)を思い出すが、色味的にはそれに近い。「少し濃い目」のお茶というメッセージを表現するために、深い緑色を使用するという意図は決して悪いものではない。ただ、実際に抽出された実体としてのお茶の色とキャップの色との間にギャップ(gap)が在り過ぎる。これは、「茶」という言葉の持つイメージが緑茶文化の中に色濃く投影された結果である。現代人はこの言葉の呪縛からもはや逃れられのかも知れない。試しに、このキャップを各種ペットボトルに付けてみると、その意味を実感出来ると思う。お茶系ペットボトル飲料にモスグリーンのキャップは似合わない。ダイドードリンコが、この色のキャップを早い段階で変更したことの教訓から学ぶべきであったと思う。

更に、文字色も白色ではない方が良かったと思われる。配色として、黒板に白墨のようで生彩に欠くからである。また、毛筆調でデザインしたことの意味が薄れている。特に、ホワイトオペークインキは、オペークという割には、下地がかすれて、透けてしまうという特徴(決してデメリットではない)を持つ。換言すれば、墨痕鮮やかではない。結論として、商品のネーミングの『天晴』感が来ていない。

JTフーズは、ホームページ[注1]上で、「パッケージは、高級な日本酒を思わせる「和紙」に包んだイメージを表現」としているが、逆にキャップは、大衆向けの焼酎(例えば、俺とおまえの『大五郎』)のイメージにとどまっている。その原因は、<和紙包装>の高級な日本酒は、そもそもペットボトルには入っていないため、プラスチックキャップではないことである。中途半端な高級感の演出と言わざるを得ない。高級感を演出するのなら、和紙で包んだイメージをとことん追求し、キャップは半透明の艶消しキャップにすべきである。

今回参照したキャップのデータ: 賞味期限+製造所固有記号「071126/HT3」。この結果、『天晴』の賞味期限は8カ月ということが分かった。キャップは、日本クラウンコルク社製洗浄スリット入り(ロット番号:H42-02)。ボトルは、東洋製罐(CAN)製、ロット番号:37。

注1) 「少し濃い目に煎れた、ど真ん中の味 本格緑茶『天晴(あっぱれ)』3月19日より全国で新発売」.ジェイティフーズ株式会社、ニュースリリース(2007年3月9日).[URL: http://www.jti.co.jp/News/2007/03/20070309_01.html

2007/03/24

『サントリー天然水』の太極キャップ

前回の『サントリー天然水』のキャップリニューアル戦略には、恐るべき「大どんでん返し」と言うべき続編が存在した。何と、2リットルボトルのキャップは、500ミリリットル(0.5リットル)ボトルの色違いだったのだ。「実はあなたには,双子のお兄ちゃんがいたのよ」と突然打ち明けらた女子高生みないな心境だ。ベース地と表示文字の色の<ウォーターブルー>と<ホワイトオペーク>を反転させた配色になっていた。更に、白地は、通常の白いプラスチックキャップ地ではなく、ホワイトオペークインキの質感を追求した半透明の素材で、表面に梨地処理(艶消し[マット]加工)のものが使用されている。このことで、高級感も醸し出されている。通常のキャップが、表面に光沢のあるアート紙に印刷された文字とすると、2リットルボトルのキャップは、トレーシングペーパーに印刷された文字になぞらえることが出来る。全体的に落ち着いた印象を与える。

2007年3月23日、コンビニの陳列棚でそれを発見した時は、ミステリーの謎が一気に解けたような安堵感を感じたものだ。丁度、2時間ドラマのラストで、断崖絶壁の海を背にして[注1]、犯人が誰も質問してもいないのに、犯行動機と事件の経過を、刑事もしくは異常に好奇心の強い民間人(2ドラ的には「~刑事(デカ)」と呼称されている)に対して、独白するシーンと似ている。

サントリーのロゴマークには、CI戦略の一環としてコーポレーテッドカラーがあった(らしい)。「<水>をモチーフとし、<水と生きる。SUNTORY>をコーポレートメッセージとしてデザイン」(同社ホームページによる)された<ウォーターブルー>である。てっきり、通常のキャップに使用されている<キツネ色>がコーポレーテッドカラーであると思っていた(なお、<キツネ色>は、当ブログで再三述べてきたように、図象学的意味での黄金色のメタファーである)。

よくよく、この2種類のキャップを並べて眺めてみると、それは陰陽を表す太極図であることがわかる。この恐るべき仕掛けは、当然、サントリーデザイン部の発想であろう。ことによると、もう一捻りあるのではないかとワクワクしてしまう。間違いなく、私のお気に入りのキャップの一つとなった。文学評論風にいえば、「本年度最大の収穫」である。

今回参照したキャップのデータ: 賞味期限+製造所固有記号「080221/S」。これにより、『サントリー天然水2リットル入り』の賞味期限は約12カ月に設定されていることがわかる。製造工場は<南アルプス>であるので「天然水白州工場」(山梨県)である。ところで、なぜ「天然水白州工場」と表記しているかと言うと、白州には、ウイスキー醸造所のサントリー白州ディストラリーがあり、別の製造ラインとなっているからである。因みに、白州の天然水が先にあって、この地にディストラリーが造られたのであり、その逆ではない。ウイスキーは、ケルト語のuisge-beatha(命の水)が語源と言われている通り、ディストラリーのサイト選定は水探しから始まる。サイントリーの「山崎」もニッカウヰスキーの「余市」も、スコットランドの風土に似ていることと良質の水があることから、選ばれている。なお、山梨には、この他にサントリーのワイナリーも存在する。首都圏に近い立地と集約性からも、この地が選定されていると思われる。こうした蘊蓄はすべて、古谷三敏著『レモンハート』から得られたものである。キャップは、日本クラウンコルク社製のギザギザの粗いキャップである(ロット番号:N18-71)。

注1) これは、長ゼリフの場面で、キャメラアングルを一定に保つための大切なテクニックである。後ろが海ないし水辺であることは、そこが人間の立ち入れない領域であることを暗示している(らしい)。従って、キャメラは、陸側から海側をなめるようにして、犯人の独白を追うことが出来る。もはや、能や狂言の「決め事」の域にまで達している。

2007/03/21

『サントリー天然水』に水色キャップ登場

サントリー天然水』の500mLボトルのキャップが水色になった(2007年3月21日、コンビニ棚で確認)。色のイメージとしては、ソーダ味のアイスキャンディーの色である。ペイルブルー地のキャップに白色オペークインキ(赤キャップのコカ・コーラ(R)や青キャップのペプシネックスに使われているインク)で、「SUNTORY」のロゴ+上方に「←あける」表示である。デザインは従来のままであるが、配色を変えただけで、劇的な変化をもたらしている。非常に綺麗なキャップである。

いよいよ日本にもカラーリングキャップの時代が到来かと思いたいが、ミネラルウォーターのキャップは別ジャンルなので、予断は許されない。そもそも、『サントリー天然水』のキャップは当初、半透明の別規格のものが使用されていた筈である。それが、サントリーの社名ロゴが、2004年に従来の飾り気のないサンセリフ書体から、現在の末端部にカリグラフ的要素を入れたフォントフェイス[注1]を導入した頃から、白いキャップ地+キツネ色の社名ロゴのものに代わったように記憶している。従って、サントリー社も当初は、ミネラルウォーターを海外のミネラルウォーターとの差別化をはかるために、規格外キャップを使用していたのである。ことほど左様に「水を売る」ことは大変なことなのだと思う。実は、ミネラルウォーターのペットボトルキャップは、私のコレクションに入っていない。余りにも規格がバラバラであることと、集めだしたら際限がないように思えたことが理由である。恐らく、世界のペットボトル入り飲料の中で、最も種類が豊富なのではないだろうか。

今回、同社のホームページを見て、『サントリー天然水』には、<南アルプス>と<阿蘇>の2種類が存在することを初めて知った。<南アルプス>の方は、花崗岩層を通過した湧水であるのに対して、<阿蘇>の方は、カルデラ外輪部の砂礫層を通過した湧水と思われる。このため、水質も味覚も全く別ものである。一度飲んでみたいものである。

また、<南アルプス>の方は、コンビニで一般的に販売されるサイズである500mLボトルのデザインを一新している。同社ホームページによれば、「キラキラ輝く氷をイメージ」したものらしい。確かに、水が入った状態では、かなり大きめなロックアイスのように見える(夏向けの販売戦略か?)。なお、ボトルの底には「SUNTORY S 26」というロット番号があることから、<南アルプス>専用ボトルとして作成したものである。因みに、<阿蘇>の方は南国九州のため、残念ながら「氷」のイメージはなく、ボトルは従来のものが使用されているようだ。<南アルプス>が『ボルヴィック』としたら、<阿蘇>は『アサヒ天然水富士三ッ峠の水』と思っていいのか? いずれにしても、1社で同一ブランド2種類の「天然水」は、海外では一般的な商品ラインナップ戦略であるが、日本では珍しい。

今回参照したキャップのデータ: 賞味期限+製造所固有記号「080210/S」。これにより、『サントリー天然水』の賞味期限が11カ月(半)に設定されていることが判明した。製造工場は<南アルプス>が「天然水白州工場」(山梨県)で、<阿蘇>が「九州熊本工場」である。キャップは日本クラウンコルク社製のギザギザの粗いキャップである(ロット番号:N18-27)。

注1) 新しい社名ロゴタイプは、あの『伊右衛門』をデザインしたことでも有名なサントリーデザイン部アートディレクターである水口洋二氏のデザインである。公式には、デザインは一般公募による結果としているが、あの書体は、余人を持ってはデザインできない気がする。サントリー侮り難し。

2007/03/20

ペットボトルキャップにおいて「美」とは何か?

CCNBC社は最近、『スプライト(R)』のパッケージとロゴマークのデザインを変更した(2007年3月19日に、コンビニの棚にて確認。)。同社ホームページによれば、「より現代的でクールなイメージに刷新」というが、いかにも現代のアメリカ人デザイナーの考えそうな無機質なデザインである。はっきり言うが、決して<現代的>でも、<クール>でもない。

キャップは、CCNBC社にしては、珍しく、白色のキャップ地に、紺色で「Sprite(R)」+上下に「→あける」の文字(点対称)である。書体のフォントデザインも今一つ統一感がないうえに、「→あける」の付加で、「オシャレ」感が失われている。私は、過去のコカ・コーラのデザインセンスの良さに惹かれていたので、昨今のコカ・コーラ社のデザインには不満がある。これは、不二家のペコちゃんのキャラクターグッズにも言えることであるが、「キッチュ」さが失われていることが、デザインの魅力を失った最大の要因であると言える。最近のデザインは、PCのグラフィックソフトを使用して行われているため、線一つとっても、無機的で味気ない。あのどれをとっても大差のない近代の自動車のフォルムデザインですら、最終的には人が手を加えていると言うのに、人間の口に入る食品やドリンクならばなおのこと、ヒトの気配が感じられるデザインとすべきである。恐らく、このことは、CCNBC社のデザイン担当者が一番痛感していることと思われる。

ペットボトルキャップにおいて「美」とは、706ミリ平方の円の狭い面積のなかに、いかに情報を集約し、ヴィジュアル化するかである。従って、不要なものは可能な限り削ぎ落とすことが肝要である。九鬼周造が『「いき」の構造』において示した江戸の「いき」こそが、デザイン戦略として問われているものである。

スプライトは、レモンライムテイストではあるが、実は無果汁である。また最近「純水」を使用し始めたらしい。これは余り知られていないことであるが、スプライトには保存料として安息香酸ナトリウム(Sodiumu benzoate)が使用されているため、ナトリウムの含有量がことのほか多い(安息香酸ナトリウムは、水の中で安息香酸-とNa+のイオン状態で存在する。このイオンが保存効果を持つ)。100mL中11.5mg含有と表示されている。このことから見積もると、安息香酸とナトリウムの分子量比が約5:1なので、500mL入りスプライト1本につき、安息香酸が302.5mg、ナトリウムが57.5mg含有されることになる(何かの間違いのような気がする。詳しいヒトがいたら訂正してください)。これだと、厚生労働省の定める安息香酸の許容一日摂取量(日本人の平均体重を50kgとした場合、250mg/日)を軽くオーバーしてしまうことになる。1日1本飲んで大丈夫なのか? 因みに、私は80kgなので大丈夫である。ただ、食品の摂取は、あくまで自己責任なので、このことについて問題提起するつもりはない。

ボトルデザインは、下半分が、ガラス瓶の頃のシェイプと炭酸の気泡のデザインを踏襲しているが、似て非なるものとなっている。先ず、色の違いが一番大きな相違点である。スプライトといえば、本邦での1971年10月の発売当初より、深緑色のグラスボトルであった。これまでもその都度、述べていることではあるが、ペットボトルに相応しいボトルシェイプに早急に移行すべきである。

今回参照したキャップのデータ: 賞味期限+製造所固有記号「C 070725-ETA」。これによれば、スプライトの賞味期限は4カ月に設定されている(お茶などに較べ、意外に短い)。製造は、東京コカコーラ(イーストジャパン)多摩工場である。「ETA」は「イー」「タマ」と覚えよう。キャップは、日本クラウンコルク社製青色パッキン付き(無果汁なので、洗浄スリットなし)を使用(ロット番号:蓋本体=35-17、パッキン=8)。ボトルは、東洋製罐(CAN)製(ロット番号G-13)である。

2007/03/13

アサヒ飲料のペットボトルキャップのカラーリング戦略

2007年3月13日、コンビニの店頭でアサヒ飲料の新商品『レモンを搾ったMITSUYA CIDER<糖質オフ60%(当社従来品比)>』を見た。キャップの色は、レモンイエローである。キャップの上面には、緑色で「Asahi」のロゴマーク+「あける→」の表記がある。これはレモンの果実をそのままイメージした非常に分かりやすいアイコンとなっている。デザインは『爽レモンサイダー』[注1]と同一デザインの色違いである。『爽レモンサイダー』のキャップが「白地に青」に対して、『レモンを搾った』の方は、「黄地に緑」である。実は、これには巧妙が仕掛けが施されている。「白地に青」に黄色のフィルターを掛けたと仮定した場合、可視出来る色は「黄地に緑」である。従って、色の位相がずれただけの配色であるため、余り違和感を感じない。色物を得意とするアサヒ飲料の面目躍如といったところである。

ここ1カ月間の同社の新規キャップ攻勢をみていると、どうやら、アサヒ飲料は、ドリンクの中身をキャップの色で、より鮮明に、より視覚的に訴えるという戦略を打ち立てたのではないかと思われる。

今回のレモンイエローのキャップは、コンビニの陳列棚で、ひときわ異彩を放っていた。今後、ペットボトルキャップは、従来の「白地」から「カラー」ベースに移行してくる予感がある。これは、メーカー側のニーズというより、キャップの素材に色素が使えるようになった何らかの要因が加わったからではないかと思われる。今後の同社の動向とともに、他社追従の動きを注視していきたい。

今回参照したキャップのデータ: 賞味期限+製造所固有記号「070817/M」。レモン果汁入りの炭酸水の賞味期限は5カ月に設定されていることが分かる。特に果汁入りの炭酸飲料の場合、内容物の腐敗による容器破損が最も危惧されるためである。キャップも、通常、炭酸飲料に用いられる気密性の高い青いパッキンの機能に加え、洗浄スリット入りという特別なものを使用している。案外、今回のキャップの色分けの理由は、キャップを間違えないための措置かも知れないと穿った見方をついついしてしまう。また、製造所固有記号の「M」は恐らく、『三ツ矢サイダー』」の主力工場であり、120年の伝統を誇る千葉県の柏工場と思われる。従って略号「M」は「三ツ矢」の頭文字と推察される。

注1) KUMAさんが運営する 『★ペットボトルキャップコレクションの旅★』 の中の「日本のキャップ編」>アサヒ>「爽レモンサイダー-01」をご参照ください。

2007/03/09

「FAUCHONアップル・ティー無糖」のキャップはパール・ゴールドに「←あける・←あける」

2007年3月7日、アサヒ飲料は「フォション(FAUCHON)アップル・ティー(無糖)」を発売した。キャップの色は、パール・ゴールドである。恐らく、FAUCHONの紅茶缶の色をイメージしたものと思われる。通常、フォションの場合、加温用オレンジキャップとして楕円の二重丸(◎)の真ん中にFAUCHONの「F」+創業1886年を表す「depuis 1886」の文字の入ったキャップが既に存在するが、今回は、上下に白文字で「←あける・←あける」のみである。実に、シンプルである。キャップの素材にコストを掛けてしまったのかと心配になる。でも、「FAUCHONストレート・ティー」も、同様のデザインである。ストレート・ティーの方は、通常の白いキャップに黒文字で上下に「←あける・←あける」とあるので、ストレートの<白>に、アップルの<ゴールド>の対比なのかも知れない。

この手の色物キャップは、アサヒ飲料の得意とするところである。「ドデカミンゴールド」のキャップの登場は、いまなお鮮烈な記憶として刻み込まれている。キャップの素材自体は別に金色ではなく、パール・オレンジなのだが、文字通り<金赤>と呼ばれる赤色のベタを背景に抜き文字の楷書体で「金」のデザインは、お洒落なデザインキャップを見慣れていたため、衝撃的であった。別に奇を衒っている訳ではなく、消費行動に与えるインパクトを推し量ってのことと思われるため、逆に好感が持てる。今後も斬新な色物キャップを期待する。

参照キャップ・データ: 日本クラウンコルク社製洗浄スリット入り(ロット番号:H54-43)、賞味期限+製造所固有記号「071121/SCG」(アサヒ飲料の「フォションアップル・ティー」の賞味期限は9カ月に設定されていることがわかる。意外に長い)

CANとNEC、RFIDタグ内蔵ペットボトルキャップを共同開発

東洋製罐(CAN)と日本電気(NEC)が、RFIDタグ内蔵ペットボトルキャップを共同開発したと2007年3月6日に発表した[注1]。プレスリリース用の写真をみる限り、プロトタイプであるため、日本クラウンコルク社のメーカーロゴがフィンの上に小さく入れられていることを除き、外見上の差異は認められない。

この開発は「世界初」らしいが、何のためのものか意味が全くわからない。恐らく、これまで誰も、RFIDタグを埋め込んでまで、ペットボトルの行方など追跡(トレーサビリティー)する必要性を感じていなかっただけなのではないだろうか。おまけに、廃棄時にキャップから、RFIDタグだけを回収するらしい。このように、商品にコストを転嫁してまで目指さなければならない「ユビキタス社会」とはいったい何なんだろうか。私には、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』で提示された社会の再現としか思えない。

これだと、工夫次第で、誰が何処にどんなデザインのペットボトルキャップのコレクションをしているかが、直ぐ分かるから、すごく便利(なのか?)。今回のものは、あくまでパッシブ型で10cm程度の通信距離しかないようだが、当然アクティブ型も製造可能であることから、これらからは、ペットボトルキャップひとつ集めるのも、ちょっと覚悟がいる(かも)。

注1) 「世界初,RFIDタグを内蔵したペットボトル容器を共同で開発 ~RFIDタグを活用する「ユビキタス情報容器」の市場創造と展開を両社で推進~」.東洋製罐株式会社;日本電気株式会社プレスリリース,2007年3月6日.Available from: URL: http://www.nec.co.jp/press/ja/0703/0602.html

2007/03/07

CCNBC社『茶織(SAORI)[TM]』vs.キリンビバレッジ社『生茶』の甘み対決

2007年3月5日、コカ・コーラナショナルビバレッジ(CCNBC)社は『一(はじめ)(R)茶』をリニューアルして、『茶織(SAORI)[TM]』を発売。翌日の2007年3月6日、キリンビバレッジ社も『生茶』をリニューアル発売した。今回の緑茶対決のコンセプトはどうやら<甘み>らしい。

いつも不思議に思うことであるが、競合するメーカーが新商品を市場に投入する場合、必ず同様のラインナップで勝負を仕掛けて来るのはなぜなんだろう。開発段階や製造準備期間から逆算して、ほぼ同時期に同様の研究開発を行っていると考えられるが、相互に内部通報者(孫子の兵法で言うところの「内間」や忍者の「草」みたいな人々)が暗躍しているのだろうか。あるいは、企業のトップ同士がホットラインでコンタクトを取り合い「次はこれで行きましょうか」みたいな合意があるのだろうか。この謎は永遠に解き明かされないような気がする。

さて、<甘み>の正体であるが、『茶織(SAORI)[TM]』の方は「中嶋農法」の茶葉(全体の10%)を挽いて<抹茶>状にしたもの添加している。また、『生茶』の方は、「国産かぶせ栽培茶葉(100%)」+「(甘み火入れ)玉露」+「生茶葉抽出物」である。どちらも、日光を遮蔽することで、渋み成分を抑えた栽培法を用いた茶葉を使用している点で共通している。従って,どちらも飲みやすい。キリン『生茶』曰く、「日本人は知っている。うまいは、甘い」(北大路魯山人)ということらしい。

さて、肝腎のペットボトルキャップであるが、商品をリニューアルしたにもかかわらず、キャップは従来のままである。コカ・コーラ(CCNBC)社には望むべくもないが、キリン『生茶』には期待していたのだが、誠に残念!

今回参照したキャップの賞味期限と製造所固有記号(キャップのフィンロックと呼ばれる部分に印字されている)は、『茶織[TM]』が「M 070808-NNF」[注1](日本クラウンコルク社製の洗浄用スリット[注2]入りのもの)。一方『生茶』は「071008/K13」[注3]である。なお、ほぼ発売日が同時期であることから、CCNBC社の緑茶の賞味期限が5カ月に設定されているのに対して、キリンビバレッジ社は7カ月に設定されていることが判明した。これにより、商品の製造時期が逆算可能である。覚えておくと便利である(多分)。

注1) 製造所固有記号「NNF」が何処の工場であるかは現時点で不明。なお、2005年3月に発売当時の「一(はじめ)茶」は、主に小松工場と蔵王工場などで製造されていたが、現在は、CCNBC社の統合プログラムに沿って、全国的に製造されている(はずである)。
注2) キャップ上面から5ミリ以内に位置する横方向の2ミリ程度の切り込みのこと。キャップ打ち込み時の夾雑物を水で洗い流すための切り込み。日本クラウンコルク社製は4カ所、ALCOA社製は6カ所である。なお、これがあるのは、ギザギザの細かいキャップのみである(用途に応じてスリットのないものもある)。また、ギザギザの粗いキャップでは別の工夫がなされてるため、スリットは存在しない。
注3) 「13」は湘南工場を表すコードであるが数字の羅列だけで紛らわしとの指摘から、2005年1月以降、キリンの「K」+湘南工場の「13」を合わせた「K13」の表示に変更されている。

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