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2010年12月

2010/12/31

加温器キャップにおける日本コカ・コーラ社の決断 (2) 過渡期キャップの導入

2010年、日本コカ・コーラ社は、加温器キャップに新たな歴史を刻もうとしている。それは、飲料キャップにとってエポックメイキング的な出来事である。私たちはまだその全貌を知らない。

今回は前回の続編である。日本コカ・コーラ社が加温器キャップにおいて試験的に行った次世代キャップへの布石について言及したい。

日本コカ・コーラ社は、2010年秋冬のホット飲料において、今後の飲料メーカーの方向性を決定するかも知れない重大な決断を行っていた。それは、当ブログでもこれまで折に触れ言及して来た次世代ローハイトキャップの口栓部規格に関するものである。

次世代ローハイトキャップとは、国際飲料技術者協会 (ISBT) PCO-1881小委員会が、2006年頃より策定作業を進めて来た環境負荷軽減を目的とした 「PCO-1881規格」 のことである [注1]。既に、Bericap社やCSI社などのキャップ製造に係るグローバルメーカーが製品化し、メキシコ (中南米)、欧州、米国、中国など世界各地域で市場投入され、実際に使用されている。

本邦においても、2009年末から2010年の導入を視野に入れ、CSIジャパン社や日本クラウンコルク (NCC) 社などが、2009年度までに開発を完了し、市場投入に向けた準備に入っていた。具体的には、CSI社における 「Xtra-Lok mini」、「Omni-Lok mini」[注2-3]、更に、NCC社における炭酸充填用2ピースキャップである 「28NCフラップSH-AP3T」 や炭酸充填用ワンピースキャップである 「28NCフラップSH-T」 などを挙げることが出来る [注4]。

ただし、これらのキャップが2010年12月31日現在、コンビニの陳列棚に並んだという報告を未だ聞かない。

本邦において現在最も多く使用されている飲料キャップは、φ28mm径の 「PCO-1810」 (一部 「ALCOA-1716」 を含む) と呼ばれる口栓部規格 (neck finish specification) に対応したものである。当然のことながら、国内の清涼飲料水を製造するメーカーは、その大部分がこの口栓部規格に対応する製造ラインとして稼動している。これらの口栓部規格は、約四半世紀前にPETボトルが飲料容器として導入された当初より、アルミキャップの時代を経て、プラスチックキャップの時代の到来以降、現在に至るまで、大幅な変更も無く使用され続けて来た馴染み深い仕様であった。従って、新規ローハイト (ショートハイト) キャップへの移行は、「黒船来航」 にも似たインパクトを業界全体に与えるものである。

現実に、ローハイトキャップへの移行 (仕様変更) には、多額の設備投資を要することになる。またそのためには、飲料業界全体のコンセンサス形成も不可欠である。しかしながら、リーマンショック以降の景気低迷と原油価格の高騰などによる不安定要因により、飲料業界全体が低迷期にある現状において、新規設備投資は、環境負荷以上に企業経営に負担を強いるものである。そうした状況においては、なかなか新規口栓部規格に切り替えられないのが実情と言える。

こうした閉塞的状況を打破すべく、業界のリーディングカンパニーたる日本コカ・コーラ社は、加温器キャップにおいて 「過渡期キャップ」 の採用に踏み切った。すなわち、「PCO-1810」 と 「PCO-1881-ISBT」 とを橋渡し、仲介 (mediate) する役目を果たす 「PCO-1881-med」 規格の導入である。

さて、ここまでの説明ではさっぱりキャップの形状が具現化されていないため、ほとんどの読者が脱落し、振るい落とされたと思われる。正直、書いている私自身しんどい。でも、いま暫くの辛抱である。


表.新旧口栓部規格の主要仕様 [注5-6]

(a) PCO-1810 (従来規格)
   A = 27.97 ± 0.13 mm
   P =  3.18 ± 0.10 mm
   X = 21.00 ± 0.25 mm
   S =  1.70 ± 0.08 mm
   Z = 33.00 ± 0.38 mm
   Wt* = 5.1 g
   スレッド巻数[角度]= 約2.3 [=840°]

(b) PCO-1881-med (過渡期規格)
   A = 28.00 ± 0.15 mm
   P =  2.70 mm
   X = 21.00 ± 0.25 mm
   S =  1.70 ± 0.08 mm
   Z = 33.00 ± 0.15 mm
   Wt* = 3.9 g
   スレッド巻数[角度]= 約1.6 [=580°]

(c) PCO-1881-ISBT (新規規格)
   A = 28.00 ± 0.15 mm
   P =  2.70 mm
   X = 17.00 ± 0.25 mm
   S =  1.70 ± 0.08 mm
   Z = 33.00 ± 0.15 mm
   Wt* = 3.8 g
   スレッド巻数[角度]= 約1.75 [=650°]

[注解] A=周状顎部 [TEバンド嵌合部突起] 直径 (= キャップ内径)、P=スレッドピッチ、X=口栓部上端からサポートリング下端までの長さ (口栓部全体の高さ)、Z=サポートリングの直径、Wt=重量 [* データは注5に由来]。なお、実際の数値やスレッドの形状は、プリフォーム製造メーカー及びキャップの改良仕様により若干異なることに留意。


上記の表から明らかなように、従来規格 「PCO-1810」 と新規規格 「PCO-1881」 の絶対的違いは、スレッド (ネジ山) のピッチ幅の違いにある。実際に各々の規格に対応するキャップを入れ替えた場合、「PCO-1810」 対応キャップでは、キャップ側のピッチ幅が大きいため、一見再栓されたように見えるが、水を入れて振るとわずかに漏出が認められる。逆に、「PCO-1881-med」 対応キャップでは、キャップ側ピッチ幅が小さいため、約半分位までしか閉まらない。結果として、これらのキャップに互換性がないことが証明された。

ただし、従来規格 「PCO-1810」 と過渡期規格 「PCO-1881-med」 との違いは、あくまでネジ山のピッチ幅のみであり、口栓部全体の長さ (高さ) は両方とも21mmと同じであることから、従来の設備をそのまま使用出来るメリットがある。すなわち、ボトル口栓部とキャップの規格の対応関係さえ、ちゃんと取れていれば良いことになる。

実は、キャップの刷り色を 「白」 と 「黒」 に分けた最大の理由はここにあったようにも思える。

なお、実際に過渡期規格である (b) の 「PCO-1881-med」 に対応する製品は、口栓部が透明で、キャップが 「白刷り」 の 『紅茶花伝 ロイヤルミルクティー』 (110318-EEB) と 『あたたかい綾鷹上煎茶』 (110513-CTK) の2製品のみであった。キャップの見分け方は簡単で、キャップ裏側に刻印されたロット番号の上段が 「A30」 番台で始まるものが、これに対応する。因みに、これはコールド販売製品である 『い・ろ・は・す』 や 『綾鷹』 などに近年導入されているNCC社製軽量化キャップ 「28NCフラップ-アセプE」 (PCO-1810) におけるロット番号 「A40」 番台のものとは明確に区別されるべきものである (これらのキャップは樹脂の肉厚が薄いため、内側スレッドをナール幅5本置きに等間隔に切り取った跡が外観上、縦縞状に透けて見えることで判別し得る)。

上記以外の 「白刷り」 キャップは従来規格の 「PCO-1810」 のままである。現在、「PCO-1881-med」 を市場で見掛ける機会はほとんどないが、市場投入のタイミングは断続的と考えられる。このことからも、過渡期キャップの導入が試験的であることが伺える。

国際飲料技術者協会 (ISBT) は、2010年9月17日付けプレスリリースの中で、持続可能な開発と環境負荷の軽減に向けた社会の実現のため、「PCO-1881」 規格を全世界に完全無償で提供することを表明している [注7]。本来、業界内の自主規格は参加企業内で排他的に使用されるか、法外な対価で提供されるものであるが、今回のこの方針は、当該規格の普及が業界の思惑とは裏腹に、思うように進んでいないことの左証とも言える。

果たして、新規ローハイトキャップが本邦で普及するのは、何年後のことであろうか。その普及率は、取りも直さず、景気回復の判断指標と呼ぶにふさわしい。

来るべき2011年が良い年でありますように!

■ 参照キャップデータ ■
『あたたかい綾鷹(R)<上煎茶>』 <粗ギザ黒文字バージョン> (6角耐熱PETボトル280mL) の賞味期限+製造所固有記号:「110610-CTK」*。賞味期間は約8カ月 (未開栓)。キャップは、NCC社製 「28NCフラップ-アセプ」 ワンピースキャップ [粗ギザタイプ] (ロット番号:N21-71)。ボトルは、自社成形 (ロット番号:CJP/C/11R)。プリフォーム [白色] (ロット番号:NT112029)。製造ロット番号: H0226K22 534367

『あたたかい綾鷹(R)<上煎茶>』 <粗ギザ白文字バージョン> (6角耐圧PETボトル280mL) の賞味期限+製造所固有記号:「110313-CTK」*。賞味期間は約8カ月 (未開栓)。キャップは、NCC社製 「28NCフラップ-アセプ」 ワンピースキャップ [粗ギザタイプ] (ロット番号:A30 68)。ボトルは、自社成形 (ロット番号:CJP/C/5R)。プリフォーム [透明] (ロット番号:NI43137)。製造ロット番号: F0656J22 288914

『紅茶花伝(R)ロイヤルミルクティー』 <粗ギザ白文字バージョン> (6角耐圧PETボトル280mL) の賞味期限+製造所固有記号:「110318-EEB」**。賞味期間は約6カ月 (未開栓)。キャップは、NCC社製 「28NCフラップ-アセプ」 ワンピースキャップ [粗ギザタイプ] (ロット番号:A30 04)。ボトルは、自社成形 (ロット番号:EJP/E/13R)。プリフォーム [透明] (ロット番号:NI43674)。製造ロット番号: G0656J27 447613

* 「CTK」 = コカ・コーラセントラルジャパン (株) 東海北工場 (愛知県東海市南柴田町トの割266-18)
** 「EEB」 = コカ・コーライーストジャパンプロダクツ (株) 海老名工場 (神奈川県海老名市上河内33)

注1) 「International Society of Beverage Technologists, PCO-1881 Finish Subcommittee」 (Webサイト)
注2) Closure Systems International (CSI) 「Xtra-Lok mini」 [アクセス日: 2010年12月31日]
注3) Closure Systems International (CSI) 「Omni-Lok mini」 [アクセス日: 2010年12月31日]
注4) 日本クラウンコルク株式会社 『環境・社会報告書 (2010年版)』、p. 11, 2010.
注5) Anton Steeman 「Short, Shorter, the ShortestBest In Packaging (2009/11/04)
注6) ISBT 「Thredspecs-Downloads」 [アクセス日: 2010年12月31日]
注7) 「ISBT Announces Global Open Domain Initiative」 (2010/09/17)

2010/12/25

加温器キャップにおける日本コカ・コーラ社の決断 (1) 白と黒の謎

現在、日本コカ・コーラ社の加温器キャップには、「黒刷り」 と 「白刷り」 の2種類が存在する。今回はこの謎についてである。

当ブログの2010年8月25日付記事において、日本コカ・コーラ社が加温器キャップのメッセージ文字数を短くしたことに言及した [注1]。同社は、この秋から冬にかけて、キャップ周囲をぐるりと囲むお馴染みの加温器メッセージを従来の 「この製品は加温器で販売できる製品です」 から 「この製品は加温販売できます」 に変更した。この時点では、刷り色も従来と同様のホワイトオペークインキであったことから、「心機一転」、「衣替え」 程度の変化と捉えていた。ただ、『香りと深みの爽健美茶』 (350mL) だけが、「この製品は加温器で販売できる製品です」 のロングバージョンのままであったことが少し気掛かりであった。でも、この点に関しても、キャップの在庫調整期と考えることで、自分自身を納得させていた。

その約1カ月後の2010年9月21日、事態は一挙に動き出す。上記キャップの画像を掲載しているKUMA氏のブログ 『KUMAの日記風ボトルキャップ通信』 に対するコメントにより、私はその新たな事実を知ることになる [注2]。コメントは、自販機で販売されるペットボトルのキャップが従来のイエローキャップではなく、一般的なオレンジキャップに変更されたと報告していた。更に驚くべきことに、メッセージ文字列の刷り色がホワイトオペークインキではなく、一見濃いグレーに見えるスミ一色に変更されたと言う。急遽確認したとろ、その通りであった。この時点では、ペットボトルキャップコレクターの誰もが、この 「黒刷り」 キャップが自販機専用であることを疑わなかった。

さて、今回のテーマは説明過程が複雑かつ重層的であり、私自身、混乱を来たす恐れがあるので、この辺で、日本コカ・コーラ社の加温器キャップの歴史について、概要を整理しておきたい。同社が、加温器キャップを市場に投入したのは、今から9年余り前の2001年9月3日 (月曜日) のことである。最初の製品は 『まろ茶』 という緑茶製品であった。TVでは、この新機軸の製品を広告するため、井川遥をフィーチャーしたCMが頻繁に流されていた。この月、私は大病を患い、丸々1カ月間入院していた。発売1週間後の9月11日、ニューヨークで 「9・11アメリカ同時多発テロ」 が起こった。TVでは、大型旅客機が次々とツインタワーに衝突する映像をリプレイしていた。手術後の混濁した意識の中で、現実と非現実の境界面を行き来しながら、それを眺めていたことを覚えている。従って、私のなかでは、加温器キャップの登場は、この事件と分かち難く奇妙なイメージのまま脳裏に刻まれている。

恐らく、ナショナルブランド (コンビニで販売される商品) として初めて認知されたオレンジキャップ使用ではなかったかと思う。キャップの図柄は、茶室の丸窓障子を連想させる意匠を背景に縦書きの極太楷書体で 「まろ茶[商標]」 と入り、周囲を 「この製品は加温器で販売できる製品です」 とのメッセージが取り囲むものであった。メッセージの表示位置は、時計回りで、3分方向から始まり、58分方向で終わるものであった。特徴は、他の飲料メーカーが、いつまでも循環するメッセージの終わりにフルストップの意味で句点記号 「。」 を打つところ、デザイン性を重視してか、「です」 で終わり、文末をスペースのままにしていることであった。

同社の加温器キャップのデザインは大まかに区分すると以下の4期に分けることが出来る。因みに、現在10種類の図柄が存在する。

<第1期> 2001年09月03日 (月) 以降、飲料業界の申し合わせにより、オレンジキャップが導入されてから初めて上市された 『まろ茶[商標]』 の 「丸窓障子」 + 「この製品は加温器で販売できる製品です」[上弦] バージョンが出現。

<第2期> 2003年10月13日 (月) 以降、オレンジキャップが汎用キャップデザインに移行し、手売り店頭販売用のオレンジキャップと自販機用イエローキャップに分化する。メッセージは前者が、「FROM Coca-Cola」 + 「この製品は加温器で販売できる製品です」[上弦]。後者が、「FROM Coca-Cola」 + 「この製品は自販機で加温販売できます」[上弦] であった。これらのキャップは、2006年9月25日発売の 『あたたか 一 (はじめ) じっくり旨み』 まで使用された。

<第3期> 2006年10月30日 (月) 以降、『からだ巡茶』、『あったか香ばし爽健美茶』 等において、「→あける」 表示が追加され、それに伴いメッセージの開始位置が変更された。すなわち、それまでの上弦から下弦に向きが変わった。キャップ下方に一つだけ 「→あける」 表示が添えられたことを除けば、メッセージ内容に変更はない。

<第4期> 2010年8月以降、メッセージ文字数が5文字削減されたショートバージョンが出現した。手売りと自販機の区別がなくなり、キャップがオレンジキャップに統一され、現在に至る。


表1. 日本コカ・コーラ社の加温器キャップの変遷とキャップの種類

<第1期> [ホット充填1種類]
▼ 『まろ茶 [商標]』 (2001年9月3日、月曜日)
  「この製品は加温器で販売できる製品です」
  ノーマル (120線) | ホット充填 | オレンジ | 黒

<第2期> [ホット充填1種類、アセプ充填2種類]
▼ 『まろ茶 120』 (2003年10月13日、月曜日)
  「この製品は加温器で販売できる製品です」
  ノーマル (120線) | ホット充填 | オレンジ | 白
▼ 『爽健美茶』 (2003年10月13日、月曜日)
  「この製品は加温器で販売できる製品です」
  粗ギザ (60線) | アセプ充填 | オレンジ | 白
▼ 『まろ茶 120』 (2003年10月13日、月曜日)
  「この製品は加温器で販売できる製品です」
  粗ギザ (60線) | アセプ充填 | イエロー | 赤

<第3期> [ホット充填2種類、アセプ充填2種類]
▼ 『あたたか 一(はじめ) じっくり旨み』 (2006年10月下旬)
  「この製品は加温器で販売できる製品です」 +「→あける」
  ノーマル (120線) | ホット充填 | オレンジ | 白
▼ 『あたたか 一 (はじめ) じっくり旨み』 (2006年10下旬頃
  「この製品は加温器で販売できる製品です」 +「→あける」
  粗ギザ (60線) | アセプ充填 | オレンジ | 赤
▼ 『紅茶花伝シチリアンビター (レモンティー)』 (2006年10月下旬)
  「この製品は加温器で販売できる製品です」 +「→あける」
  ノーマル (120線) | ホット充填 | イエロー | 赤
▼ 『あたたか 一 (はじめ) じっくり旨み』 (2006年10月下旬)
  「この製品は加温器で販売できる製品です」 +「→あける」
  粗ギザ (60線) | アセプ充填 | イエロー | 赤

<第4期> [ホット充填1種類、アセプ充填1種類]
▼ 『紅茶花伝ロイヤルミルクティー』 (2010年8月下旬)
  「この製品は加温販売できます」
  粗ギザ (60線) | アセプ充填 | オレンジ | 白
▼ 『まりやかミルクのホットなカフェオレ』 (2010年8月頃)
  「この製品は加温販売できます」
  粗ギザ (60線) | ホット充填 | オレンジ | 黒

[注解] 1段目: 製品名 (発売日)、2段目: 「加温器メッセージ文字列」[メッセージ環の表示方向、=上弦、∩=下弦]、3段目: ナール形状 | 充填方法 | キャップシェル地色 | 刷り色。なお、製品名は、そのキャップの初出時のものである。


いつまでも、思い出に浸っていることは出来ないので、時間軸を現在に戻す。その後3カ月間にわたる観察の結果、オレンジキャップの刷り色と販売形態には相関関係が見られないことに気付いた。自販機でも 「白刷り」 や 「黒刷り」 が並存販売され、店頭でも 「白刷り」 や 「黒刷り」 の混在があらゆるシーンで確認出来た。この間、私は日本コカ・コーラ社のホット飲料をのべ40~50本近く飲んだ。購入した本数は恐らくその倍近くにのぼると思われる。目的は事実確認と検証のためである。お陰で、糖尿病が再発し、暫くはブログを更新する気力も失せてしまった程である。

さて、「白」 と 「黒」 キャップの謎に決着を付ける意味でも、ここは正確を期すために、購入したホット飲料の銘柄とキャップの刷り色を一覧にして分類してみたい。銘柄は全部で9種類であった。中には、『紅茶花伝 「ロイヤルミルクティー」』 と 『紅茶花伝 「ロイヤルミルクティーQuality」』 と言うように非常に紛らわしい製品も存在するが、一応、JANコードが違うため、別銘柄として分類した。内訳は、混合茶3、コーヒー飲料2、紅茶飲料2、柑橘系ホット飲料2、緑茶1という割合であった。ほぼ網羅的なラインナップでと言える。なお、『香りと深みの爽健美茶』 には、容量の違いにより、350mLと280mLが存在するが、JANコードが異なるため、別品目として扱った。


表2. ホット販売専用製品一覧とキャップ刷り色との関係 (全9銘柄10品目)[2010年12月24日現在]

(A1a) 『香りと深みの爽健美茶』
     350mL / 088596 / 白色 / 粗ギザ / 白長
     110331-EEB

(B1a) 『香りと深みの爽健美茶』
     280mL / 088619 / 白色 / 粗ギザ / 黒短
     110701-CTK
(B2a) 『爽健美茶 黒冴 (ホット)』
     280mL / 082457 / 透明 / 粗ギザ / 白短
     110914-EEB

(B3a) 『GEORGIA 「贅沢ミルクのホットなカフェオレ」』
     280mL / 088770 / 白色 / 粗ギザ / 黒短
     110415-EEB

(B4a) 『GEORGIA 「まろやかミルクのホットなカフェオレ」』
     280mL / 075084 / 透明 / 粗ギザ / 白短
     110427-MAS
(B4b) 『GEORGIA 「まろやかミルクのホットなカフェオレ」』
     280mL / 075084 / 白色 / 粗ギザ / 黒短
     110301-CTK [注3]

(B5a) 『紅茶花伝 「ロイヤルミルクティー」』
     280mL / 088459 / 透明 / 粗ギザ / 白短
     110429-MAS、110318-EEB

(B6a) 『紅茶花伝 「ロイヤルミルクティーQuality」』
     280mL / 088435 / 透明 / 粗ギザ / 白短
     110128-MAS
(B6b) 『紅茶花伝 「ロイヤルミルクティーQuality」』
     280mL / 088435 / 白色 / 粗ギザ / 黒短
     110508-CTK

(B7a) 『Minute Made 「ホットレモネード」』
     280mL / 089234 / 透明 / 粗ギザ / 白短
     110506-MAS

(B8a) 『Mone 「はちみつゆず」』
     280mL / 042086 / 透明 / 粗ギザ / 白短
     110227-MAS

(B9a) 『あたたかい綾鷹上煎茶』
     280mL / 088695 / 透明 / 粗ギザ / 白短
     110513-CTK
(B9b) 『あたたかい綾鷹上煎茶』
     280mL / 088695 / 白色 / 粗ギザ / 黒短
     110504-CTK
(B9c) 『あたたかい綾鷹上煎茶』
     280mL / 088695 / 白色 / ノーマル / 白短
     110702-NNF

[注解] 1段目: ( ) 内の3桁コードは便宜的に振ったもので、A=350mL、B=280mL、アラビア数字は、各容量毎の品目別、「a」、「b」、「c」 はキャップの種類別に振った枝番である。『 』 = 製品名。2段目: 容量 / JANコード下6桁 / 口栓部結晶化状態 / メッセージ刷り色+メッセージの長短。3段目: TEバンド表示 (賞味期限+製造所固有記号)。


以上の結果、以下の事柄が判明した。時系列に沿って列挙する。

● 加温器キャップからイエローキャップが姿を消し、オレンジキャップに統一された
● 350mL角型ボトルのキャップのみ従来のロングバージョンのままであった
● 12月上旬に依託パッカーで製造された 『綾鷹』 が販売されるまでは、販売される全ての製品のキャップは粗ギザタイプのみであった
● 9月下旬、自販機に 「黒刷り」 粗ギザキャップが登場した [注2-3]
● 10月上旬、スーパー店頭で 「黒刷り」 キャップを確認した
● 自販機で 『綾鷹』 に 「白刷り」 と 「黒刷り」 の並存を確認した
● 自販機で 『紅茶花伝 「ロイヤルミルクティーQuality」』 にも 「白刷り」 と 「黒刷り」 の混在を確認した
● 11月頃より、コンビニで 「黒刷り」 キャップを見かける頻度が高まった

これらの事実から導き出された結果は、第1に、自販機販売のホット飲料におけるイエローキャップが廃止されたことである。黄色は、日本コカ・コーラ社では注意を喚起する色とされいる。自販機での品質管理のため、わざわざ店頭販売のオレンジキャップと区別する目的で使用されて来た経緯がある。さすが、飲料自販機設置台数シェア国内第一位だけのことはある。今回、加温器キャップがオレンジ一色に統一された理由の一つは、自販機の充填作業のIT化に伴うものと思われる [注4-5]。これまで、自販機の管理はルートマンにその多くを依存して来た。近年、それらはネットワークを介して一元的に管理出来るようになった。キャップの色分けによる管理は、その歴史的使命を終えたと言える。これにより、「自販機用」 と 「手売り用」 の区別が無くなった。私は、加温器用イエローキャップを初めて見たとき、銭湯や温泉でよく見掛ける 「ケロリン」 の風呂桶を真っ先に思い浮かべた。配色と質感がとてもよく似ていたからである。イエローキャップが無くなることはちょっぴり残念である。

第2に、加温器メッセージの長短は、容量の違いと相関関係を持つことである。実際には、四角形ボトルの350mL入りの 『香りと深みの爽健美茶』 と六角形ボトルの280mL入りの 『香りと深みの爽健美茶』 は、同一銘柄であるにもかかわらず、メッセージは前者が従来のロングバージョン、後者が新規のショートバージョンであった。これは、ボトル形状に起因するものと考えられる。

第3に、充填方式の違いによるキャップ形状の差異が解消されたことである。全ての加温器キャップが 「粗ギザ」 に統一されてしまった。少なくとも、2010年12月6日付けのKUMA氏のブログ [注6] を読むまでは、そう思っていた。私は危うく 「日本コカ・コーラ社、加温器キャップを粗ギザに統一」 なるタイトルの記事をアップする寸前にあった。今回の記事は予定稿を基に全面的に改訂したものである。

では、何故、一部の例外事例を除き、キャップ形状の差異が解消され、粗ギザに統一されてしまったのであろうか。ここで、加温器キャップの変遷史を思い出して頂きたい。<第3期>において、キャップの種類は、ホット充填用ノーマルギザ2種類、アセプ充填用粗ギザ2種類の計4種類が存在していた。またこれは、手売り店頭販売用のオレンジキャップ2種類、自販機販売用のイエローキャップ2種類と言い換えることも出来る。これらは、充填方式2種類 (ホットか、アセプかの違い) と販売方式2種類 (手売りか、自販機かの違い) の組合せの結果であった。すなわち、2 × 2 = 4 である。ところが、<第4期>では、販売方法のファクターが無くなったのだから、キャップの種類はオレンジキャップのノーマルと粗ギザの2種類となるところである。すなわち、2 × 1 = 2 である。これで、キャップの製造コストも格段に抑えることが出来る。日本コカコーラ社の意図も当初その辺にあった筈である。

ところが、ホット飲料はその性格上、コールド販売専用製品に較べ、販売量が1桁も2桁も少ない。そのため、更なるコスト見直しが検討され、キャップ形状を粗ギザ1種類とした上で、刷り色を変えることにより対応する決断に迫られたものと推察する。すなわち、(1w + 1k)× 1 = 2 である。実際には、口栓部が 「透明」 な非結晶化ボトルを用いるアセプ充填には 「白刷り」 キャップが対応し、口栓部が 「白色」 の結晶化ボトルを用いるホット充填では 「黒刷り」 キャップが対応する。これらは、同一製造ラインもしくは同一工場内でホット充填とアセプ充填を切り替える際の混乱回避策でもある (想像)。またここ数年、非結晶化ボトルにおいて、軽量化目的でキャップ内側スレッドに間歇的に設けられた縦方向の溝のカット幅が拡大するのに伴い、逆に口栓部のベントグルーブ (減圧溝) が廃止されたことも、少なからず影響しているように思われる。

意外にも、「黒刷り」 キャップは自販機専用ではなかったのである。

では、オレンジキャップノーマルギザの 『あたたかい綾鷹上煎茶』 (110702-NNF) の例外事例は、どう捉えたら良いのだろうか。基本的には、製造ラインにおける設備上の制約と考えるのが最も合理的である。コカ・コーラシステム内の自社工場では、粗ギザキャップに対応する設備が完備しているのに対し、今回の同社委託製造先パッカーでは、ホット充填専用設備であるため、それに対応するノーマルキャップが別途必要になったものと思われる。裏返せば、『あたたかい綾鷹上煎茶』 の売上げが比較的好調な結果とも言える。また、緑茶の場合、ミルク入りのコーヒー飲料や紅茶飲料に較べて、はるかに製造工程が少なく、アウトソーシング向きであることも一因かも知れない。

ノーマルギザは元来、ホット充填用キャップである。そうしたノーマルギザに最初から 「白刷り」 キャップが出現してしまった以上、敢えて 「黒刷り」 キャップを使用する意義は見い出せない。なぜならば、「黒刷り」 の意味は、上述の通り、充填方法の差異を識別するための方便に過ぎないからである。従って、今後、ノーマルギザに 「黒刷り」 キャップが出現する可能性は皆無と言える。ただし、この結論は帰納法的に得られたものであり、予想が裏切られることはむしろ、大歓迎である。

実は、日本コカ・コーラ社の加温器キャップには、更なる驚愕の事実が秘められている。これに較べれば、「『黒刷り』 キャップは自販機専用ではない」 という事実など取るに足らぬことかも知れない。この程度の謎解きなら、誰もが経験則から容易に導き出すことが出来るからである。

変革の兆しは常に海の向こうからやって来る。次回続編において、いよいよ驚愕の真実が明らかとなる (刮目して待て!)。

■ 参照キャップデータ ■
『あたたかい綾鷹(R)<上煎茶>』 <粗ギザ白文字バージョン> (6角耐圧PETボトル280mL) の賞味期限+製造所固有記号:「110313-CTK」*。賞味期間は約8カ月 (未開栓)。キャップは、NCC社製 「28NCフラップ-アセプ」 ワンピースキャップ [粗ギザタイプ] (ロット番号:A30-68)。ボトルは、自社成形 (ロット番号:CJP / C / 5R)。プリフォーム [透明] (ロット番号:NI43137)。製造ロット番号: F0656J22 288914

『あたたかい綾鷹(R)<上煎茶>』 <粗ギザ黒文字バージョン> (6角耐熱PETボトル280mL) の賞味期限+製造所固有記号:「110610-CTK」*。賞味期間は約8カ月 (未開栓)。キャップは、NCC社製 「28NCフラップ-アセプ」 ワンピースキャップ [粗ギザタイプ] (ロット番号:N21-71)。ボトルは、自社成形 (ロット番号:CJP/C/11R)。プリフォーム [白色] (ロット番号:NT112029)。製造ロット番号: H0226K22 534367

『あたたかい綾鷹(R)<上煎茶>』 <ノーマルギザ白文字バージョン> (6角耐熱PETボトル280mL) の賞味期限+製造所固有記号:「J 110702-NNF」**。賞味期間は約8カ月 (未開栓)。キャップは、NCC社製 「28NCフラップ-ホット」 ワンピースキャップ [ノーマルギザタイプ] [洗浄スリット6個所](ロット番号:H78-58)。ボトルは、他社成形 (ロット番号:石/10)。プリフォーム [白色] (ロット番号:NT112074)。製造ロット番号: 0432L13

* 「CTK」 = コカ・コーラセントラルジャパン (株) 東海北工場 (愛知県東海市南柴田町トの割266-18)
** 「NNF」 = 丸善食品工業 (株) 富士小山工場 (静岡県駿東郡小山町菅沼884-1)

注1) 「コカ・コーラ社、加温器キャップのメッセージ5文字削減に成功」  ペットボトルキャップ時評 (2010/08/25)
注2) 「加温器キャップの季節がやって来た!?」 KUMAの日記風ボトルキャップ通信 (2010/08/27)、及び2010年9月21日付けコメント
注3) 「コカ・コーラのニューバージョンオレンジキャップ」 KUMAの日記風ボトルキャップ通信 (2010/10/02)
注4) 「FOMAネットワークを活用した新たな自販機オペレーションモデルを開発- 『1往復オペレーションシステム』 を導入-」 日本コカ・コーラ株式会社/株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ ニュースリリース (2008/02/18)
注5) 上木貴博 「自動販売機の充填作業をITで効率化、『1往復オペレーション』 を全国展開へ」 『日経情報ストラテジー』 (2008/03/11)
注6) 「『綾鷹』加温器キャップの怪?」 KUMAの日記風ボトルキャップ通信 (2010/12/06)

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