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2011/05/17

サントリー 『C.C.Lemon』 にみる非常時対応キャップへの道

2011年4月13日、全清飲 (全国清涼飲料工業会) が、キャップ供給メーカー3社からの緊急要請を受け、PETボトル用樹脂キャップの 「白無地統一」 方針に合意してから、既に1カ月余りが経過している [注1]。ところが、コンビニの陳列棚では依然として、ブランドロゴの印刷された製品を目にする。白無地キャップに変更されたものを数える方が早いくらいである。「白無地」 キャップに変更されたのは、全体の3分の1程度にとどまっている。

やはり、飲料メーカーにとって、これまで育て上げてきたブランドイメージを捨て去ることには大いに抵抗がある筈である。ましてや、飲料キャップは、商品の 「顔」 である。昨日まで化粧をしていたのを、いきなりノーメークで外出するようなものである。あるいは、昨日までかつらを付けていたのを、いきなりカミングアウトするようなものである。場合によっては、「あなたは誰?」 という状況になりかねない。『サントリー烏龍茶』 のお馴染みのロゴキャップが 「白無地」 に変更された場合を想像してみれば、その重大さの程度が分かると思われる。

そうした意味でも、今回の 「白無地統一」 は、非常時の緊急避難的措置なのである。

飲料メーカーの対応は概ね、以下のような流れで進んでいる。先ず、プロダクツラインナップやアイテムの絞込みが行われ、紙パックやボトル缶などの包装容器への転換などにより、PET製品の点数が制限される。このような樹脂キャップの絶対的使用量の見直しが行われた上で、徐々にブランドイメージからの離脱がはかられているようである。

 (1) ブランドロゴキャップの在庫消化 →
 (2) コーポレートロゴ汎用キャップの在庫消化 →
 (3) 「白無地」 もしくは 「→あける」 キャップの導入使用

サントリーフーズ社は、2011年5月中旬、『C.C.Lemon』 において点対称の 「←あける」 汎用キャップを導入した。2011年5月16日、17日の両日、「ローソンストア100」 および 「NEWDAYS」 店頭にて確認。500mL入り1本税込105円 (前者) と147円 (後者) であった。キャップシェルがレモンイエロー地に変更されてから、約2年後の出来事である [注2-4]。

キャップの図柄の変遷と製造時期は以下の通り。賞味期限180日から逆算した推定製造日の推移は、「白無地統一」 の合意を受けてからの、キャップの図柄を順次変更して行く過程を示す好事例と言える。

 <a> 「SUNTORY / C.C. / Lemon」
     ブランドロゴキャップ
     (シェル: 黄色地 + 刷色: 緑)
     賞味期限: 2011.10.11
     推定製造日: 2011.04.14

 <b> 「←あける / SUNTORY」
     コーポレートロゴ汎用キャップ
     (シェル: 白地 + 刷色: 薄茶)
     賞味期限: 2011.10.18
     推定製造日: 2011.04.21

 <c> 「←あける ・ ←あける」
     点対称矢印汎用キャップ
     (シェル: 白地 + 刷色: 薄茶)
     賞味期限: 2011.10.29
     推定製造日: 2011.05.02

さて、今回導入された 「点対称矢印汎用キャップ」 であるが、一般的に知られているアサヒ飲料の灰色矢印のものとは異なり、刷り色は 「SUNTORY」 コーポレートロゴ汎用キャップと同じ薄茶色である。図柄は、「←あける」 を点対称に天地に配したデザインである。29mmのキャップ天面部に3.5mmと、かなり広い余白を残しており、通常のコーポレートロゴキャップの矢印表示位置より内側に来過ぎている印象を受ける。印刷位置のズレにより、同心円上に 「←」 の弧が重ならない可能性もある。極めてバランスが悪いレイアウトと言える。

このキャップは、今回の非常時対応のために、わざわざ印刷されたものである。一般的には、「白無地統一」 が、完全に印刷なしのように報道されているが、実は、充填方法の違いにより、「→あける」 のみが印刷されたキャップも使用されるらしい [注5]。また、キャップの成形工程と印刷工程は全く異なる製造プロセスにつき、「←あける」 程度の印刷は、製造効率に直ちに影響を及ぼすものではない。むしろ、今回の 「白無地統一」 は、特定の飲料メーカーのみに印刷キャップを供給することが業界全体の反発を招くため、「全員横並び」 を旨とする日本的風土に合わせて、よく考え抜かれたスキームと言える。

また、「←あける」 キャップの導入は、充填方法の違いにより、キャップの仕様 (スペック) を間違えないようにするためのヒューマンエラー回避処置の方便でもある。キャップの対応を間違えた場合、「内容物」 や 「炭酸ガス」 の漏洩 (漏出) を招くばかりか、「キャップ飛び」 や 「破裂」 などの重大事故を引き起こす可能性もあり、充填方法とキャップ形態の対応関係は、PETボトル製品における最重要検討事項のひとつである。すなわち、キャップの図柄やデザインは単なる飾りではなく、製造工程や品質管理上、欠くことの出来ない目安でもあったことが、こうした事実からも伺い知ることが出来る。

キャップ供給危機により、非常時対応キャップが新たに出現したことは、私のような一介のペットボトルキャップコレクターにとっても、複雑な思いを抱かせる。これを奇貨とすべきか否かと。

■ 商品表示データ ■
『C.C. Lemon』 (ペタロイド脚500mLロングトールオリジナルシェイプ耐圧PETボトル)
<品名> 炭酸飲料
<原材料名> 糖類 (果糖ぶどう糖液糖、砂糖)、レモン果汁、ビタミンC、香料、酸味料、ベニバナ色素、パントテン酸カルシウム、ビタミンB6、カロチン色素
<栄養成分> (100mLあたり) ●エネルギー:40kcal ●たんぱく質:0g ●脂質:0g ●炭水化物:10.1g ●ナトリウム:19mg ●ビタミンB6:0.3mg ●ビタミンC:286mg ●パントテン酸:0.1~1.4mg
<販売者> サントリーフーズ株式会社 (東京都港区台場2-3-3)
<JAN> 4-901777-209138

■ 参照キャップデータ ■
<a>[ブランドロゴキャップ]
『C.C. Lemon』 (ペタロイド脚500mLロングトールオリジナルシェイプ耐圧PETボトル) の賞味期限+製造所固有記号:「2011.10.11/WB」。賞味期限は180日 (未開栓)。キャップは、日本山村硝子プラスチックカンパニー社製中栓使用の 「TEN-Cap」 2ピースキャップ (ベントホール4カ所) (ロット番号:<シェル本体>NY P108、<中栓>P1-43)。ボトルは吉野工業所製 (ロット番号:B21/H6)。プリフォーム [白/PCO-1810] (ロット番号:H606)。製品ロット番号: L183F5

<b>[コーポレートロゴキャップ]
『C.C. Lemon』 (ペタロイド脚500mLロングトールオリジナルシェイプ耐圧PETボトル) の賞味期限+製造所固有記号:「2011.10.18/WD」。賞味期限は180日 (未開栓)。キャップは、日本山村硝子プラスチックカンパニー社製中栓使用の 「TEN-Cap」 2ピースキャップ (ベントホール4カ所) (ロット番号:<シェル本体>NY P122、<中栓>P1-23)。ボトルは吉野工業所製 (ロット番号:B7/H58)。プリフォーム [白/PCO-1810] (ロット番号:H658)。製品ロット番号: L002I

<c>[点対称矢印汎用キャップ]
『C.C. Lemon』 (ペタロイド脚500mLロングトールオリジナルシェイプ耐圧PETボトル) の賞味期限+製造所固有記号:「2011.10.29/WD」。賞味期限は180日 (未開栓)。キャップは、日本山村硝子プラスチックカンパニー社製中栓使用の 「TEN-Cap」 2ピースキャップ (ベントホール4カ所) (ロット番号:<シェル本体>NY P215、<中栓>P2-29)。ボトルは吉野工業所製 (ロット番号:B18/H62)。プリフォーム [白/PCO-1810] (ロット番号:H662)。製品ロット番号: L214B

注1) 「PETボトル用樹脂キャップ白無地 統一のお知らせ」 全国清涼飲料工業会 (2011/04/13)
注2) サントリー 「C.C. Lemon」 (ブランドサイト) [アクセス日: 2011/05/17]
注3) 「『C.C.Lemon』 のキャップからハニカミ笑顔とカナ表記が消えた日」 ペットボトルキャップ時評 (2010/03/30)
注4) 「『C.C.Lemon』 キャップシェル、レモンイエローへの変身の意味」 ペットボトルキャップ時評 (2009/04/21)
注5) 「日本コカ・コーラ、大半の清涼飲料のキャップを白無地に統一」 MSN産経ニュース (2011/04/22)

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コメント

はじめまして。
この前買ってきたサントリー烏龍茶が今までのキャップと白無地が混ざっていたので、ちょっと気になったのでググってみたところこの記事に辿り着きました。
なるほど、そういうことがあったんですね~。
もうちょっとでお客様センターに問い合わせするところでした(^-^;
ちなみに製造日?とかは無知なので分かりませんが、消費期限が
2012.04.04/T 印刷あり
2012.04.18/AJ 白無地
でした。
では、安心して飲もうと思います。
ありがとうございました。

roppiさま こんにちは

拙いブログをお読みいただきありがとうございました。

いきなり 「白無地」 に変わったら、だれでも驚きますよね。一応、新聞やTVなどでは、事前に報道されていたことですが、よほどの関心がないと、気にも留めないのが普通だと思います。それに、報道があって、3カ月も経ってから、「白無地」 キャップが市場に並んだわけですから、アナウンス時期や効果にも疑問が残ります。

今まで、信頼の証しとしてきたブランドロゴがキャップから消えることの意味は、やはり大きいですね。

一日も早いキャップ製造メーカーの復旧が待たれます。

roppiさま 今後と宜しくお願いします。

OJ拝^^

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