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2011/11/12

『サントリー烏龍茶』 のロゴ入りキャップ、印刷工程を簡素化

『サントリー烏龍茶』 が始めて発売されたのは、1981年12月のことである。本年は、発売30周年の記念すべき節目の年に当たる [注1-4]。しかしながら、震災による白無地キャップの導入という想定外の事態が、飲料メーカーのキャップの在り方に一石を投じたようである。

伝統ある 『サントリー烏龍茶』 のキャップの図柄が、印刷キャップ解禁を契機として変更された。本来、商品ロゴの外接円として印刷されるべき、あのベージュ色のベタ丸が消えた。2011年11月11日金曜日、トリプルイレブンの日、それはセブンイレブンではなく、ファミリーマート店頭において目撃された。

一瞬、幻影を見たのかと思った。最近では、タブロイド紙のゴシップ記事 (エロ記事でも可) を読むにも難儀するほど、老眼が進んでいる。眼鏡を額にずらし、キャップを眼球に近づけることで、ようやく現実を直視することが出来た。

日本コカ・コーラ社と同様、『サントリー烏龍茶』 も、<白無地>キャップ導入以降、キャンペーンシールでその場を凌いで来た。最近では、サントリー1社提供番組 『ちゅーボーですよ!』 (TBS系列) とのタイアップで、8角形の黄色地赤色文字の 「カレーにはウーロン茶で星3っつ!!」 キャンペーンシールの貼られた製品が直近のものである。今なお多くのコンビニでは、このロットの製品が並んでいる。キャンペーンシール版キャップのTEバンド賞味期限表示は、「2012.10.02/AJ」 であり、リニューアル版キャップの表示は、「2012.10.25/AJ」 である。賞味期限は360日であるので、リニューアル版キャップの製造時期は、2011年10月31日頃となる。製造所固有記号 「AJ」 が神奈川綾瀬工場であることと、キャップが日本クラウンコルク (NCC) 社製 「28NCフラップ-アセプE」 であることを勘案すれば、キャップの製造 (供給) メーカーはNCC社石岡工場 (茨城県) であると考えるのが合理的である。このことから、石岡工場でも印刷キャップの製造が再開されていることが伺い知れる。

さて、キャップの図柄であるが、粗ギザ白色キャップ地に黒かと思わせるほどの濃い茶一色で 「サントリー」+「烏龍茶」 のお馴染みの明朝体縦書きの商品ロゴである。子持ち罫で囲まれた商品ロゴ以外には何も印刷されていない。あまりにも簡素で、それまでの2色刷キャップを見慣れていたせいか、全く別の商品のような印象を受ける。ハッキリ言ってしまえば、貧乏臭い。刷り色を1色減らしただけで、それまでの商品に対する信頼感が一瞬にしてチープな廉価品としての評価に変わってしまう。飲料キャップにおけるプロモーション性のマジックである。

あのベタ丸の印刷は、キャップによって、オリーブ色掛かって見えたり、灰色掛かって見えたりと、色合いが一定しない。印刷業界でいうところの 「特色 (spot color)」 というやつである。印刷職人が勘と経験とカラーチャート (色見本) だけを頼りに、インキをこねこね混ぜ合わせて創り出す色のため、キャップ供給メーカー毎に文字通り特色を持つ結果となる。従って、キャップの製造コストも若干お高めになる。『サントリー烏龍茶』 は、広告宣伝はもとより、商品自体にも、ここまでコストを掛けることで、ウーロン茶飲料シェア第一位の座を占めるに至ったともいえる。

1981年の発売当初、『サントリー烏龍茶』 はまだスチール缶 (190g) であった。商品ロゴも右肩に 「サントリー」 の看板が添えられていない。現在の商品ロゴがパッケージに登場するのは、1985年の1L入り紙パックからである。そして、1986年に1.5L入りPETボトルが発売される。ただし、この頃のキャップはメタルキャップであった。1991年に2L入りPETボトルが発売され、キャップがアルミ製になる。そして、1996年に500mL入りの小型PETボトルが解禁されて、ようやくプラスチックキャップが登場する [注3]。

従って、『サントリー烏龍茶』 の歴史は、PETボトルキャップの歴史でもある。日本有数のペットボトルキャップコレクターであるKUMA氏のホームページでは、これまでに2系統の図柄が確認可能である [注5]。一つ目の図柄は、ベージュ色ベタ丸を背景とした 「サントリーウーロン茶」 カタカナ表記バージョンのものである。この図柄は、恐らく日本クラウンコルク (NCC) 社製 「Uni-Lok」 のキャップ構造に起因するものと思われる。「Uni-Lok」 は、コレクターの間では、「ヘソ有り」 と呼称されているキャップで、射出形成時の樹脂注入孔がキャップ天面部中央に3.5mm径の凹みとして残る。その様を人体の臍 (ヘソ) に見立てたものである。サントリーデザイン部は、これが天面部に印刷される図柄の一部を毀損することを回避す目的で、この凹みを中心として、上方に 「サントリー」、下方に 「ウーロン茶」 のゴシック体の文字を配したものと思われる。「Uni-Lok」 は一般的に2Lサイズの大型PETボトルに使用されることが多く、また、「Uni-Lok」 の開発が前年の1996年であったことを合わせて勘案すると、1997年の 『サントリー烏龍茶』 2L入りPETの発売に合わせて、導入されたものと考えられる。

二つ目の図柄は、最も馴染み深いベージュ色ベタ丸を背景とした 「サントリー烏龍茶」 ロゴバージョンのものである。キャップの種類も、① ノーマルギザ (28NCフラップ-ホット、PS-Lok、TEN-Cap)、② 粗ギザ (28NCフラップ-アセプ、AS-Lok)、③ ユニロック (NCC Uni-Lok) というように各種充填方式および製造ラインに対応している。このことは、販売規模の大きさと商品ラインナップの豊富さを意味する。緑茶市場の急速な拡大に伴い、2001をピークとして年々販売量が逓減傾向にあるとは言え、ウーロン茶飲料市場トップシェアであることに変わりはない [注6]。なお、サントリーデザイン部はその後、③ のユニロックを使用する際に、図柄の一部 (中央部分) が毀損されることを容認している。これも、ナショナルブランドとして万人に認知されたことの証なのであろう。海外のファッション誌や女性週刊誌などの誌名ロゴが、人物写真やあおりのキャッチコピーなどで、その一部もしくはほぼ全部が隠れてしまうことに似ている。もはや、その一部だけで認識可能なアイコンと化しているいえる。

今回の 『サントリー烏龍茶』 キャップ印刷工程簡素化が、いかなる意図で実施されかは全く想像の域を出るものではないが、幾つかの仮説を立ててみた。こうした見立ても、ペットボトルキャップをコレクションする愉しみの一つである。

<仮説1> 刷り色 (特色) を減らすことによる製造コストの削減。『サントリー烏龍茶』 は年間3,790万ケース (2011年度販売目標 [注4]) も製造されるため、仮にキャップ購入費用が1個当たり50銭下がるだけで、何と4億5千万円のコストカットを実現出来る計算になる。

<仮説2> 印刷過程での 「毛抜き合わせ」 が、キャップ製造 (供給) メーカーのおかれた現状では、生産効率を著しく低下させるため、暫定的措置として減色キャップが導入された。いずれは元のベタ丸背景ロゴキャップが復活するというシナリオである。

<仮説3> 今後のカラーキャップ解禁を見据えたデザイン変更。オリーブ色掛かったベージュ色キャップ地に、今回の単色図柄を印刷することで、従来のキャップと同等もしくはそれ以上の効果を狙ったもの。従って、今回の簡素化は試験的かつ過渡的なものにとどまる。既に、サントリーは 『C.C. Lemon』 において、イエロー地キャップに緑色の刷り色の組み合わせでその効果を実証済みである。

飲料キャップを取り巻く状況はまだまだ流動的といえる。しかしながら、それも同時代を生きることに他ならない。我々ペットボトルキャップコレクターは、時代の荒波に翻弄される小船のようなものかも知れない。抗うことも出来なければ、羅針盤すら持ち合わせていない。

■ 商品表示データ ■
『サントリー烏龍茶』 (クリスタルカット8面ツイストパネルのオリジナルシェプ*耐圧PETボトル500mL)
<品名> ウーロン茶飲料
<原材料名> ウーロン茶、ビタミンC
<原料茶の産地> 中国福建省
<成分分析表> [ボトルに表示なし]/[サイトに掲載あり] (100mLあたり) ●エネルギー:0kcal ●たんぱく質:0g ●脂質:0g ●炭水化物:0g ●ナトリウム:約10mg ●カフェイン:約20mg ●カリウム:約10mg ●リン:1mg未満
<販売者> サントリーフーズ株式会社 (東京都港区台場2-3-3)
<JAN> 49-1524-0-1

* 2010年4月6日、リニューアル時に従来のクリスタルカットボトルのデザインを一新、グリップ性に優れたツイストシェイプとなる

■ 参照キャップデータ ■
『サントリー烏龍茶』 (クリスタルカット8面ツイストパネルのオリジナルシェプ耐圧PETボトル500mL) の賞味期限+製造所固有記号:「2012.10.25/AJ」**。賞味期間は12カ月 (未開栓)。キャップは、NCC社製 「28NCフラップアセプ-E」 ワンピースキャップ (ロット番号:A46-36)。ボトルは、自社成形 (ロット番号:WJ/1-15)。プリフォーム [透明/PCO28] (ロット番号:5-31)。製造ロット番号:165J0064970

** AJ=サントリービバレッジプロダクツ (株) 神奈川綾瀬工場(252-1108 神奈川県綾瀬市深谷上8-27-1)

注1) 「『サントリー ウーロン茶』 リニューアル ― おかげさまで30周年。発売から10億ケース突破。―」 サントリー ニュースリリース#10995 (2011/01/26)
注2) 「サントリー烏龍茶」 (ブランドサイト)[アクセス日:2011年11月11日]
注3) 「サントリー烏龍茶30年の歴史」 (ブランドサイト)[アクセス日:2011年11月11日]
注4) 「サントリー食品インターナショナル株式会社2011年事業方針」 サントリー ニュースリリース#10994 (2011/01/26)
注5) KUMA氏の運営する 『ペットボトルキャップコレクションの旅』 「日本のプラキャップ」 <サントリー編> 「サントリーウーロン茶-01~-03、サントリー烏龍茶-01~-12」
注6) 飲料総研 『飲料ブランドブック2010年版』 pp.30-31.

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コメント

OJさん、こんばんは。

いつも、お世話になっております。

印刷工程簡素化について、どういう理由によるものか私も興味があったので、サントリーの「お客様センター」に問い合わせてみました。

さっそく回答があって、結果はキャップの供給能力に一定の目途が立ったため、オリジナルキャップ使用の再開に際しての「単なるデザインの変更」であるとのことでした。

味気ないですね。ロマンというかもっと奥深いものがあってくれた方が、コレクター心を掻き立てられますね。

KUMA様 こんにちは

いつも拙いブログをご愛読頂きありがとうございます。

理由は、単に 「デザイン変更」 ですか、ちょっと拍子抜けです。
でも、さすがです。キャップ供給体制が復旧したことの、明確な証言を得ることが出来たのは、大いなる収穫といえるものです。

これからも、突撃取材宜しくお願い致します。

OJ拝^^

なっちゃんも復活しましたねhappy01

グウィネスさま こんにちは

コメントをいただき恐縮です。
人気の無いブログなので、こうして反応があると大変うれしいです。

印刷キャップが次々に復活して、ほっとしています。白無地ばかりだと、余りに無個性になってしまい、文化としての素地が失われてしまう気がします。

今後とも、ブログの応援よろしくおねがい申し上げます。

OJ拝^^

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