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2012/03/11

『伊右衛門』 の太輪に 「茶」 の字のニューキャップロゴについて

サントリーフーズ社が販売する 『伊右衛門』 のキャップが、「SUNTORY」 のコーポレートロゴ入り汎用キャップから、お馴染みの太輪に 「茶」 の字のブランドロゴキャップに変わった。世界有数のペットボトルキャップコレクターであるKUMA氏のサイト [注1] で初めて見た瞬間、衝撃を受け、その後わくわく感が湧き上がって来た。あまりにも見慣れた 『伊右衛門』 のアイコンだったため、これまでキャップになかったのが不思議なくらいである。

オリーブ色掛かった薄い茶色のロゴは、お茶の色を表しており、手書き風な味わいを残すことで古い伝統を感じさせている。印刷もキャップ中心部から若干センターをずらすことで、型にはまらぬ自由さを印象付けている。文字通りのエキセントリックな仕上がりとなっている。また、粗ギザキャップの質感にも程よくマッチしており、本年一番の収穫と言ってよい。まだ、ニューキャップラッシュが始まったばかりであるにも拘わらずである。

2012年3月4日付の名古屋での発見報告に続き、2012年3月10日、首都圏でも、ようやく手にすることが出来た。500mL入り1本147円。

サントリーの 『伊右衛門』 と言えば、それまで緑茶飲料開発では、苦汁を舐め続けていたサントリーが社運を賭け、それまでの製品の反省に基づき開発された集大成的商品である [注2]。

ヒットの要因については、① 京都の老舗茶舗 「福寿園」 との共同開発、② パッケージデザインを含む商品コンセプトの視覚化、③ 中くびれオリジナルシェイプの竹筒型ペットボトル [注3]、などの本物志向が挙げられるが、④ 寛政2年 (1790年) 創業の福寿園初代当主福井伊右衛門から着想したネーミングの妙であったと思う。我々は、既に 「ドラえもん」 を共同幻想として獲得していたからである。これは半分冗談であるとしても、初代当主 「伊右衛門」 をモデルとしたTVCMは、圧倒的な作品クォリティーと共に約220年前の 「伝統」 の追体験を可能としている。もはや本木雅弘と宮沢りえは、染め抜き暖簾のロゴと一体不可分のイメージを成している [注4]。そして、⑤ 久石譲作曲の 「Oriental Wind」 のピアノの旋律。我々は、もはやその作品世界が実際の歴史上の出来事であるか否かを問うことはない。ブロックバスター的に投入される広告宣伝が無かったとしても、完全にその世界に絡め取られていたことであろう。

この点こそが、後発のJTフーヅ社の 『辻利』 が果たせなかった <何か> である。『辻利』 も初代当主 「辻利右衛門」 に由来するネーミングであるにも拘わらず、ここまでのヒットに繋がっていない。いっそのこと、初めから商品名を 『利右衛門』 とすべきだったのかも知れない。

因みに、今回入手したキャップには、2011年に日本山村硝子プラスチックカンパニーが市場投入した環境負荷軽減型キャップである新規アセプチック充填用キャップ 「PA-Cap」 が用いられている。この粗ギザキャップの特徴は、リサイクル時にキャップ洗浄が容易になるように、キャップの裏面をツルツルに加工することで撥水性を高めたことにある。また、使用樹脂の量目を減らす目的でなされた強度補強用の <操舵舵> もしくは <くもの巣様パターン> も工夫の一つである。

ところが、このキャップ裏面のパターンは、キャップ天板部の厚みを薄くしたことにより、表面に薄暗い陰を投影する結果となってしまった。今回の太輪に 「茶」 の字のブランドロゴの導入は、この陰を見事に打ち消す効果を果たしている。裏側から光にかざして見ると、ロゴとパターンが相補的関係にあることが見て取れる。まさに、デザインの勝利である。これを意図して行ったとすれば、サントリーデザイン部、畏るべしと言わざるを得ない。

■ 商品表示データ ■
『伊右衛門』 (八角形竹筒型500mLペットボトル)
<品名> 緑茶 (清涼飲料水)
<原材料名> 緑茶 (国産)、ビタミンC
<栄養成分> ラベル表示なし | 天然緑茶カテキン170mg含有 (500mLあたり)
<販売者> サントリーフーズ株式会社 (東京都港区台場2-3-3)
<JAN> 49-01777-11917-8

■ 参照キャップデータ ■
『伊右衛門』 (八角形竹筒型500mLペットボトル) の賞味期限+製造所固有記号: 「2012.10.19/SL」。賞味期限は8カ月(未開栓)。キャップは、日本山村硝子社製ワンピースキャップ 「PA-Cap」 [粗ギザタイプ] (ロット番号:NY-179)。ボトル (ロット番号:WK 20)。プリフォーム (ロット番号:D32-35)。L071C

注1) 「サントリー 『伊右衛門』 のニューキャップ!」 KUMAの日記風ボトルキャップ通信 (2012/03/05)
注2) 峰如之介著 『なぜ、伊右衛門は売れたのか。』 (日経ビジネス人文庫 504)、日本経済新聞出版社 (2009/08/04)、224頁、[ISBN: 978-4532195045] [2006年4月すばる舎版の文庫化に際して加筆修正]
注3) 公益財団法人日本デザイン振興会 「サントリー緑茶 伊右衛門 [清涼飲料水]」 グッドデザインファインダー 受賞番号 [04C01017] (2004/03/05)
注4) サントリー 「伊右衛門」 (ブランドサイト) [アクセス日: 2012年3月10日]

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