« 『Coca-Cola zero(R)』 の 「Coca-Cola zero」 図柄の黒色シェルキャップ | トップページ | 『Volvic』 にオレンジ色キャップのクリアピーチ登場 »

2013/02/24

『FROM AQUA』 「落ちないキャップ」 の構造上の改善

昨年2012年3月6日、鳴り物入りで登場したJR東日本ウォータービジネス社と日本クラウンコルク社の共同開発となる 『FROM AQUA』 「落ちないキャップ」 [注1-2] のネット上での評価は真っ二つに分かれる。

ネットを見渡す限り、評判は芳しくない。曰く、「キャップが邪魔」、曰く、「キャップがカチッととまらない」、等々である。その反対に、とても便利だと評価するサイトは概ね、プレスリリースをそのままコピペしたような記事ばかりで本当にウンザリする。中でも、「キャップを無くさずに済む」 という評価に至っては意図が分からない。たとえキャップを無くしたとしても、普通はそのまま飲み干して、ペットボトルを捨てれば済む話である。無くさずに済むことにさほどのありがた味を感じない。また、のべつ幕なしキャップを無くすようなオッチョコチョイが有象無象にいるとは思えない。

でも、そこは日本クラウンコルク (NCC) 社である。キャップ製造メーカーの矜持にかけて、不評を買ったキャップ機構の改善に乗り出した (さすがである!)[注3]。

前回のブログ記事でも言及したように、キャップが落ちないメカニズムは、キャップ本体 (シェル) とTEバンドの一部にヒンジ (蝶番) を設けたことにある。この折りたたみ式のアームでキャップ本体を支持し、キャップの下端から突き出したベロ状突起をカブラ部に引っ掛けて留める仕組みになっている。ところが、従来品では、TEバンドを少しだけ引っ張りながら挙上する必要があった。このことが 「カチッととまらない」 という評価の正体である。

今回の改善点は、ほんの僅かな構造上の変更に過ぎない。これまで、カチッと留め難かった原因は、ベロ状突起がキャップのフラップと呼ばれるTEバンド内側の四角い折り返し部分に接触していたことに起因する。一時的にベロ状突起がこの部分に突っかかるため、カチッと止まる前に、ペキッという音がする。本来、ペキッ→カチッの2段階のところ、ペキッで止めてしまうため、キャップがブラブラして鼻に当たっていたのである。

そこでNCC社は、フラップの1カ所たけをV字状にカットすることにより、ベロ状突起が障害なしにカブラ部に留まるような工夫を凝らした。この様子は、ストラップ越しに観察することが出来る。以下の例えが適切かどうか分からないが、夏場、ノーネクタイでも胸元がセクシーに決まるようにと、愛用の丸首の肌着に縦の切り込みを入れて、ヘンリーネックに改造してみたものの、時々、胸毛と一緒にシャツの切れ目が覗けてしてしまうという状況を、Vネックの肌着に変えただけで、問題が一挙に解決しました! というレベルの話である。

因みに、NCC社ではこのキャップのことを 「ストラップバンドキャップ」 と呼称している [注4-6]。折りたたみアームを 「細い紐=ストラップ」 に見立ててのことである。2009年7月までに、神奈川県平塚市にある日本クラウンコルク社の技術開発センターでの開発が完了し、岡山工場で試作品が製造されたと思われる [注4]。

『FROM AQUA』 の販売エリアはJR東日本管内に限定されているため、機会があれば、エキナカコンビニ 「NEWDAYS」 や自販機 「acure」 で実物を購入のうえ、技術の粋を自分の目で確かめて貰いたい。従来品には 「ツメが出るまでカチッととめる!」 のシール、改良品には 「"さらに" カチッととめやすくなりました」 のシールがそれぞれ貼られている。百聞は一見に如かず、である。この工夫は意外と興味深い。

■ 商品表示データ ■
『FROM AQUA ~谷川連峰の天然水~』 (6角形耐熱PETボトル500mL)
<品名> ナチュラルミネラルウォーター
<原材料名> 水 (湧水)
<採水地> 群馬県利根郡みなかみ町
<栄養成分> (100mL当たり) ●エネルギー:0kcal ●たんぱく質:0g ●脂質:0g ●炭水化物:0g ●ナトリウム:0.35mg ●カルシウム:0.71mg ●マグネシウム:0.12mg ●カリウム:0.04mg
<硬度>約20mg/L [軟水]
<販売者> 株式会社JR東日本ウォータービジネス (東京都渋谷区恵比寿南1-5-5)
<JAN> 45-71207-73022-0 (500mL)

■ 参照キャップデータ ■
(旧)『FROM AQUA ~谷川連峰の天然水~』 (6角形オリジナルシェイプダイヤモンドカットパネル耐熱PETボトル500mL) の賞味期限+製造所固有記号: 「131012/JR0」。賞味期限は[約12カ月] (未開栓)。キャップは、日本クラウンコルク社製 「落ちないキャップ」 (ロット番号:111)。ボトルは東洋製罐社製 (ロット番号:02 7/1-15)。プリフォーム [白化(結晶化)/PCO-1816] (ロット番号:5A06)。製造ロット番号:08:59

(改)『FROM AQUA ~谷川連峰の天然水~』 (6角形オリジナルシェイプダイヤモンドカットパネル耐熱PETボトル500mL) の賞味期限+製造所固有記号: 「140119/JR0」。賞味期限は[約12カ月] (未開栓)。キャップは、日本クラウンコルク社製 「落ちないキャップ」 (ロット番号:115)。ボトルは東洋製罐社製 (ロット番号:02 28/1-8)。プリフォーム [白化(結晶化)/PCO-1816] (ロット番号:5D44)。製造ロット番号:23:44

注1) 株式会社JR東日本ウォータービジネス 「FROM AQUA」 (ブランドサイト) [アクセス日: 2013年2月24日]
注2) 「JR東日本の 『FROM AQUA』 に、本邦初となる 「落ちないキャップ」 登場!」 ペットボトルキャップ時評 (2012/03/06)
注3) 「JR東日本系のミネラルウォーター 『フロムアクア』 落ちないキャップ、さらに進化」 産経新聞 (2013/01/25)
注4) 「PETボトルのキャップ事情: キャップでブランド価値を高める」 ビバレッジジャパン No. 371, pp. 43-44 (2012/12)
注5) 木村 敬 「包装用容器のふた」 意匠登録第1380932号 (2010.02.22、日本クラウンコルク株式会社)
注6) 「ストラップバンドキャップ」 商標登録第5456431号 (2011/12/09、日本クラウンコルク株式会社)

« 『Coca-Cola zero(R)』 の 「Coca-Cola zero」 図柄の黒色シェルキャップ | トップページ | 『Volvic』 にオレンジ色キャップのクリアピーチ登場 »

コメント

クモの巣です

記事と関係の無い内容で恐縮ですが、先日、ポッカサッポロのロゴ入りノーマルギザキャップで、米裏の物を入手しました。キャップのみの入手のため、何の商品についていたかは分かりませんが、今後バリアントが増えていくと面白いですね。
 また、アイリスオーヤマが輸入、販売している「とうもろこしのひげ茶」の「KDP」ロゴ入り粗ギザキャップで、裏にハングル文字の書かれている物と、英数字のみの記載の物がありました。これはキャップのメーカーが違うのでしょうか。

クモノ巣さま こんにちは

いつも新情報をありがとうございます。

>[1] ポッカサッポロのロゴ入りノーマルギザキャップで、米裏の物を入手しました。キャップのみの入手のため、何の商品についていたかは分かりませんが、今後バリアントが増えていくと面白いですね。

[1] ご疑問点に対する回答

仰る通りです。「pokka(sapporo」 ロゴの付いた汎用キャップの展開には期待が持てます。クモの巣さんやとすてむさんが、「米裏」 と呼ばれているキャップが出現したことは寡聞にして未だ知りませんでした。情報をいただきありがとございます。早速探してみます。恐らく、旧サッポロ飲料の 『玉露入りお茶/濃い旨み』(500mL) のキャップと思われます。

この製品のキャップは在庫調整のため一時的に 「白蓋」 だったことがあります。「米裏」 の正式な呼称は 「28NCフラップホット-V」 です。「V」 はValve=弁 [訂正:Vent=ガス抜き] のことで、ガス逃がし弁を表しています。通常、果汁入り飲料、緑茶飲料などのホットパック (加熱殺菌) 用のキャップとして使用されます。そのメカニズムは、中心から8方向に伸びたリブがインナーリング (内栓もしくはプラグ) の側面と連結しており、開栓後の二次醗酵によるガス発生と内圧上昇により、蓋の天面部が挙上され、これに連動するかたちでインナープラグを内側に引っ張り、傾けることで、ガスを逃がすことが可能になります。これにより、キャップ飛びを防止しています。NCC社の画期的な発明です。防爆キャップなどとも呼ばれます。CSI社の対応キャップは、金型番号が 「V3」 などの記号で始まる 「PS-Lok」 です。今回は 『素のままづくり 白桃 天然水仕立て』 で使用されています。防爆メカニズムは、NCC社製キャップとほぼ同様です。ドーナツ状リングに囲まれた天板部が挙上し、ドーナツ状リング→インナーリングにある3個所の支柱と順次連動することで、内圧を下げます。

『玉露入りお茶/濃い旨み』 も 『素のままづくり 白桃 天然水仕立て』 も、同一メーカーのキャップでもいいようなものですが、やはりリスクヘッジや製造工場の地理的条件により、メーカーを別々にしておく必要があるものと推察されます。概ね、旧サッポロ飲料も旧ポッカコーポレーションも以前の製造工場をそのまま継承しているようです。

次なる期待は炭酸充填キャップの図柄です。炭酸充填用とホット充填用を見分けるために、これまで図柄を変えていた訳なので、新たな展開が気になります。

粗ギザについては、旧社名ロゴの在庫が無くなり次第、白地に赤色 「pokka(sapporo」 ロゴに変更される気がします。角丸や角ギザも同様でしょう。更に、オレンジキャップにも、赤色 「pokka(sapporo」 ロゴバージョンが出現することを期待します。今年は両社とも無地だったので、ガッカリでした。

             ●

>[2] アイリスオーヤマが輸入、販売している 「とうもろこしのひげ茶」 の 「KDP」 ロゴ入り粗ギザキャップで、裏にハングル文字の書かれている物と、英数字のみの記載の物がありました。これはキャップのメーカーが違うのでしょうか。

[2] の疑問点に対する回答

この件に関しては現物を見ていないので、何とも回答のしようがございません。恐らく、340mL小型ボトルと1.5リットル入り大型ボトルとで、キャップが異なるものと思われます。ボトルの容量の違いは、製造工場の違いに依拠する場合がありますので、キャップ供給メーカーの違いという考え方は結構納得のいく仮説です。早速調べてみます。

ご報告を楽しみにお待ちください。

蛇足ですが、「ハングル」 とはそもそも 「偉大なる文字」 という意味なので、「ハングル文字」 という表現は間違いなのだそうです。呉 智英 (くれともふさ) という漫画評論家が言っていました。この場合、「ハングル表記」 くらいが適切ではないでしょうか。

2013/03/05
OJ拝^^

クモの巣です

詳細なご返答とコメント内容の訂正、ありがとうございます。
ポッカサッポロの炭酸充填キャップ、楽しみですね。
また、PS-Lokは、Qooについている物には裏に「ALCOA」と表記がありますが、今回の物には書いていないのですがそちらの方が新しいのでしょうか。
また、NCC社の「28NCフラップホット-V」は、古い物では「米」字様の部分が大きめのようなのですが、型番などが違うのでしょうか。

質問が続いてしまってすみません。

クモの巣さま こんばんは

いつもコメントを頂きありがとうございます。寂しかったブログが一挙に華やいだ気分です。疑問や質問、大歓迎です。

そして今回のはとても良い質問です。

ただし、クモの巣さんの質問はいつも 「内角低めギリギリいっぱい」 のところを狙って来るので、なかなか思うようには打ち返せません。でも、こうした豪腕投手からヒットを打てたら本望です。ということで、しばし素振りをさせて下さい。

次回 「解決編」 を待て!

OJ拝^^

クモの巣さま こんばんは

年度末で仕事が忙しく、十分な調査が出来なかったため、下記のご質問のみにお答えします。

>PS-Lokは、Qooについている物には裏に 「ALCOA」 と表記がありますが、今回の物には書いていないのですがそちらの方が新しいのでしょうか。

「その通りです」 とお答えするよりほかありません。ただし、新しいという意味では、「交換された金型が」 という限定付です。

なぜならば、キャップとしては、「PS-Lok II」 と呼ばれる 「スマートベント (Smart Venting)」 機能付き防爆キャップのままだからです。今回のキャップからは、単に 「ALCOA」 のロゴが消されているだけです。光にかざすと分かりますが、「ALCOA」 ロゴのあった場所が長方形に削られている痕跡を見て取ることが出来ます。これは、金型を修正したことを意味します。恐らく、今後順次、修繕の際にロゴが消されていくものと思われます。

今回の 「PS-Lok II」 は、Alcoa時代に設計された金型であったため、ロゴの削除という方法が取られていますが、2008年7月1日以降、Alcoa社との資本関係が解消され、CSIジャパンと社名を変更した後に、新たに設計開発されたキャップには 「CSI」 のロゴが入ります。

CSI社の場合、一度に60個のキャップが圧縮成型可能なキャップ製造マシンが使用されているため、同じような金型が縦横合計60個並ぶことになります。その一つひとつにはキャビティー番号と呼ばれるナンバリングが0番~60番まで振られています。当然、品質管理のため常時チェックが行われており、不良が発生した場合には、その個所 (キャビティ) の金型が交換されます。ダメージの度合いに応じて修繕が施されますが、今回のロゴの削除はその際に付随的に行われたものとも思われます。

いつまでも、「Alcoa」 の名称を引きずてはいられないといった思いがあったのかも知れません。伝統のある 「Alcoa」 の名残がキャップから消えるのもちょっと寂しい気もしますが、キャップも日々改良が加えられ、成長している証であるようにも思えます。

2013/03/08
OJ拝^^

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 『Coca-Cola zero(R)』 の 「Coca-Cola zero」 図柄の黒色シェルキャップ | トップページ | 『Volvic』 にオレンジ色キャップのクリアピーチ登場 »

2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
無料ブログはココログ