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2014/05/04

ふぞろいなアルファベットキャップたち

日本コカ・コーラ社は、「FIFAワールドカップブラジル大会」 の協賛を目的として、2014年4月14日 (月) から、『コカ・コーラ』『コカ・コーラ ゼロ』 の <ネームボトル> を期間限定で販売している [注1]。ところが、このゴールデンウィーク期間中、店頭では既に、<ネームボトル> にも拘わらず、キャンペーン用アルファベットキャップから従来の赤地に 「コンツアーボトルシルエット」 や黒地に 「Coca-Cola ZERO」 の汎用キャップに戻りつつある。

キャップについても、赤色と黒色の製品の違いのみならず、キャップ供給メーカーの違いを考慮しただけでも全104種類という空前絶後の数の出現に、日本全土が震撼した。

その上、コカ・コーラシステムの製造・販売エリアの違いにより、キャップの裏にライナー材のある2ピースキャップと、ライナー材の無いワンピースキャップまで存在することが明らかとなった。その結果、アルファベットキャップの種類は全208種類にまで膨張した。事ここに至っては、コレクションのコンプリートを断念せざるを得ない状況である。販売期間が極めて短期間であることも不安材料の一つとなっている。また、<ネームボトル> の本数約2億本に対して、アルファベットキャップが対応していない現状を考慮した場合、ペットボトルキャップコレクターに残された時間は少ない。

因みに、今回の <ネームボトル> には、最新のデジタル印刷手法が採用されているらしい。そのお陰で、本邦キャンペーン史上、最大規模の多種ラベルが用意された。この大量のパーソナライズラベルには、ヒューレッド・パッカード社製デジタル印刷機 「HP Indigo WS6000」 が使用され、約2億本分のラベルが作成された。従来のような 「版下」 を用意したグラビア印刷ではなく、PDF等のデジタルデータを使用することで、異なるデザインの連続印刷を可能にした。この2億枚のラベルを印刷するのに、合計3台の 「WS6000シリーズ」 を用い、約4カ月間、1日最大16時間稼働させることで達成したという [注2]。小ロット、サンプルラベル作成用と考えられていたデジタル印刷機の新たな可能性を物語るエピソードである。

さて、既にお腹いっぱいとは思うが、本題はここからである。

アルファベットキャップを眺めていて気になることがある。文字毎にサイズが異なることである。キャップ単体では全く気にならないが、幾つか並べてみるとフォントの高さが不揃いであることに気付く。それらは、音符のように旋律を奏でている。

文字単体では印刷位置のずれが疑われるため、「cocacola.jp」 のベースラインからアルファベット文字の頂点までの長さを計ってみた。例えば 「O」 や 「Q」 では、「cocacola.jp」 のベースラインからカーブの先端まで21.0mmである。また、「E」 や 「F」 では、同様にアーム先端まで19.5mm、そして、「U」 や 「V」 に至っては、ブラケット面先端まで18.5mmであった。このように、文字の種類ごとに高さが異なる。

このことは、今回の <アルファベットキャップ> のデザイナーの力量がへっぽこな訳では決してない。実は、キャップ印刷上の制約を解決した結果なのであり、デザイナーとしてのスキルの高さを逆に示したものと言える。

キャップに印刷するというのは、我々が想像するよりも遥かに困難なことである。金属キャップのように、アルミやスチールの平らな板状の対象物に、キャップの絵柄を何個も面付けし、印刷後にカットして、プレス加工の工程を経て完成させるのも確かに容易ではない。でも、印刷対象物が平面な分、微細な表現や多色刷り、精緻な仕上がりを可能にしている。それに対して、樹脂キャップの場合、予め圧縮成形なり射出成型でキャップ本体を製造後、印刷面に微妙なアンジュレーション (起伏) が生じたキャップ天面部に一個づつ印刷を施す工程は尋常ではない。直径わずか24~26mm程度の印刷範囲に、正確に位置決めを行い、きれいに印刷することは想像以上に大変なことである。

今回の <アルファベット> キャップの文字は、全て直径23.5mmの仮想外周線に文字の各エレメント先端が内接するように設計されている。これにより、連続印刷時のインキ斑 (ムラ) の発生を抑制しているものと思われる。また、印刷部分を一定の範囲内に分散することで、印刷圧を均等に保つ役割も担っているのかも知れない。

このことで思い出されるのは、キリンビバレッジ社 『青くつながれ。』 JFA応援キャンペーンキャップのことである [注3]。バランス的に大き過ぎるだろうと、誰もが思うサイズの小文字に、何故か全ての文字の両端にジョイント用のアームが付いていた。その意味が、今やっと氷解した。

ふぞろいなアルファベットキャップたちの挙動不審な振る舞いのお陰で、またキャップにおける謎の一つに迫ることが出来た。

注1) 「『コカ・コーラ』『コカ・コーラ ゼロ』 “ネームボトル” 300mL PET、500mL PET、1.5L PET発売!」 日本コカ・コーラ株式会社 ニュースリリース (2014/04/07)
注2) 「『コカ・コーラ』 “ネームボトル”、250種類以上の国内最大規模となるデザインバリエーションでキャンペーンを実施 ―HPデジタル印刷機で、名前入りボトルラベル約2億本分を生産―」 日本ヒューレット・パッカード株式会社 ニュースリリース (2014/04/17)
注3) 「キリンビバレッジ 『青くつながれ。』 JFA応援キャンペーンキャップ」 ペットボトルキャップ時評 (2014/03/19)

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